注目キーワード

English 日本語

テクノロジー

“音響”で素早く異常検知! 米国発のブレードメンテ技術が上陸!

音響のセンサーを用いて、傷や亀裂の状態をブレード一枚ごとに色分けして見える化。修繕の優先順位をつけるのに役立ち、定期メンテナンスの効率化を図ることができる。米国発の画期的なブレード常時監視システムが上陸した!

遠隔監視でメンテを効率化
ダウンタイムの削減に貢献

海外からの産業機械・装置を販売する商社ジャパンマシナリーが、風車ブレードの新しい常時監視システムを提案する。そのシステムとは、米国のミストラス社が開発した「センソリア」。ブレードの内部に設置した音響センサーによって周波数をキャッチし、亀裂や傷、衝撃などの異常を早期発見する。収集したデータはWEBベースのポータルサイトに送られ、ブレードの状況を遠隔でいち早く確認できる。回転中のブレードの状態も一目瞭然だ。

ポータルサイトでは、ブレード一枚ごとの状態が、傷や損傷の程度によってグリーン、オレンジ、レッドの3色に色分けして表示される。グリーンは修繕の緊急性が低く、レッドは即座に修理する必要があるといった具合だ。これによって、オペレーターは修理や更新の優先順位をつけることができ、定期メンテナンスの最適化が可能になるという。

「音によって異常を検知する仕組みは、例えるなら医師が聴診器を使うのと同じ。『センソリア』は、風車のハブ内部に設置したデータ収集ユニットとブレード内部の音響センサーによって、24時間365日の音響データを取得します。長さ60mまでのブレードであれば1つのセンサーで対応できます」と、同社の担当・河野則之氏は話す。


ブレードの24時間監視データは、WEBベースのポータルサイトに集約。データを元にメンテナンスなどの計画を最適化できる。

開発元のミストラス社では、ブレードの状態を判断するにあたって、北米の陸上風車100基に同システムを取り付け、さまざまな音響データを収集した。こうして蓄積した膨大なデータをもとに、ブレードの傷や損傷の程度を3色でわかりやすくランク付けするシステムが完成した。WEBベースのシステムのため、定期的にバージョンアップして正確さを期するという。

アクセスが難しい洋上風車のO&Mにおける課題の1つは、遠隔監視をいかに効率よく適切に行うかにある。発電事業者にとっては、トラブルに発展する恐れのある異常を早期に発見し、発電のダウンタイムを限りなくゼロに近づけることが事業の成否を握るカギだ。その一方で、足元では風車O&Mの人材が不足しているという課題がある。河野氏は「このシステムを通じて風車O&Mの効率化をサポートし、国内の陸上・洋上風力発電事業の発展に貢献したい」と意欲的だ。

POINT
異常があれば色で即表示 インシデントの質が高まる!

ブレード一枚ごとの状態をグリーン、オレンジ、レッドでランク付け。メンテナンスや修繕の優先順位を検討するのに役立つ。ブレード状態により警報でオペレータに通報する。

POINT
ブレード内部へ設置するだけ 1基につき1センサーでOK


データ収集ユニットと音響センサーを風車の内部に設置するため、常に波や風にさらされる過酷な環境の洋上風車でも利用が可能だ。

問い合わせ

<日本代理店>
ジャパンマシナリー株式会社
東京都中央区銀座8-5-6 中島商事ビル
TEL:03-3730-5991
<お問い合わせ> e-mail:hp@jmc.asia


文:山下幸恵(office SOTO)

WIND JOURNAL vol.4(2023年春号)より転載

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 洋上風力、事業環境整備の議論を本格化 年内に具体策をとりまとめる方針
  2. 【特集】洋上風力「第1ラウンド」の動向まとめ 第2、第3ラウンドの事業継続は?
  3. 陸上風力におけるリスクマネジメント 必要とされるO&Mと保険の姿とは
  4. 福島県の公募事業、阿武隈風力発電所が運転開始 “地域の交流と防災の拠点に”
  5. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?
  6. 『WIND JOURNAL』vol.09[2025年秋号]9/17発行!
  7. 長崎県五島市沖の浮体式洋上風車 来年1月稼働へ建設大詰め、大型量産化に対応した技術開発も
  8. 【第2ラウンド深堀り解説①】第2ラウンド4海域 それぞれ別々の企業連合が選定事業者に
  9. 【洋上風力第1ラウンド】三菱商事 3海域からの撤退を正式表明 関係自治体に動揺広がる
  10. 【洋上風力第1ラウンド】秋田沖2海域で法定協議会、経済産業省「年内に事業環境整備の方向性」

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正