注目キーワード

English 日本語

業界トピック

シリーズ「再エネの未来」風車の定期点検ではどんな作業を行う? 【福島県の風力メンテナンス基礎講座・中編】

ナセルでは電気系統の点検が中心
ブレードの侵食の状態確認も重要

吉田氏は次に、発電機やギアボックスが入っているナセルの定期点検について解説した。ナセルの点検では、電気系統が正常に動作しているかを確認する機能点検が中心となる。スピードセンサーなどの各種パラメータに模擬的な信号を送り、正常に動作するかをチェックする。また、ブレードの回転を増速するギアボックスの点検においては、ギアボックスを固定するボルトの確認やボックス内部にあるギアの点検なども行うという。

ブレードの定期点検においては、ブレードとハブを連結する箇所のボルトの締め付け点検のほか、風車の外側から高所作業車やドローン、ロープワークなどによる外観の目視点検を行う。ブレード外側の点検では、パワーアッセンダーという装置を使って作業員が登っていくこともあるが、最近は自動操縦のドローンを使った点検も増えているという。

ブレードの点検で確認するポイントは、主に落雷などによる傷の有無やエロージョン(侵食)の状態だ。エロージョンとは、ブレードが高速で回転する際に空気や雨、砂つぶや虫などの影響を受けて侵食されることだ。「エロージョンを放置するとブレード全体の破損につながる恐れがあるため、早期の対策が求められます」と吉田氏は強調する。

ほかにも、ブレード内部はスパーと呼ばれる桁と外皮がボンドで接着されているため、接着の状態を確認する必要もある。また、風車が稼働する際の風切り音などから異常の有無を確認することもあるという。

狭い空間で重い工具を扱う作業も
安全なO&Mには専門の訓練が必須

これらの点検作業のほかに、風向きに対してナセルの向きを調整するヨーシステム、ブレードの角度を調整するピッチシステム、風車を電力系統に連系するための受変電設備の点検なども定期点検の範囲に含まれる。

「風車O&Mの定期点検には、このようにさまざまな作業内容があります。また、ボルトやテンショナーなどの工具そのものも大きくて重たく、タワー内部という狭い空間での作業が求められます。そのため、安全に長く風車O&事業を続けるには専門の訓練を受けることが不可欠なのです」と吉田氏は風車O&Mのトレーニングの重要性を指摘する。

話を聞いた人

株式会社風凛
ゼネラルマネージャー 吉田敏光氏

福島県・エネルギー・エージェンシーふくしま
「令和4年度風力メンテナンス基礎講座(社会人向け)」より


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

12

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正

広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 【終了】第5回WINDビジネスフォーラム 「風力発電の安全対策とサプライチェーン構築」
  2. JOGMEC 秋田市沖、千葉県旭市沖でセントラル方式の物理探査の事業者公募 1月21日に説明会
  3. 【洋上風力第2ラウンド】新潟県村上市・胎内市沖 第5回法定協議会を1月20日に開催、自治体間の境界などを議論
  4. 【 開催レポート 】第5回WINDビジネスフォーラム / 風力発電の安全対策とサプライチェーン構築
  5. 北九州響灘洋上ウインドファームが年度内稼働へ「当初の事業費で難工事を克服」
  6. 風力発電の安全対策と信頼回復。秋田市のブレード落下事故を徹底検証
  7. 長崎県五島市沖、浮体式風車が商業運転開始 再エネ海域利用法に基づく第1号案件が動き出す
  8. “羽根のない風車”を開発のチャレナジー、前澤ファンドから12億円調達
  9. 【洋上風力第2ラウンド】秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖 3年後の運転開始に向け陸上工事が本格化
  10. 【洋上風力第1ラウンド】年明け以降に再公募を実施へ 応札価格に下限と上限を設定

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.09 | ¥0
2025/9/17発行

お詫びと訂正