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秋田県漁協と県内企業、洋上風力メンテナンスの受け皿会社を設立

秋田県漁業協同組合や県内企業など8者が、洋上風力メンテナンス事業の受け皿となる新会社を共同で設立した。新会社の秋田マリタイムサービスは、出資企業や協力会社などの“オール秋田”で洋上風力メンテナンス事業に取り組みたいとしている。

地元の漁協3者も出資参画
“オール秋田”で風車メンテナンス

秋田港湾区域

秋田港湾区域の洋上風車(秋田市)

洋上風力発電のメンテナンス業務を県内の経済発展へつなげようと、秋田県漁業協同組合や県内の建設会社などは4月17日、新会社「秋田マリタイムサービス」を秋田市内に設立した。新会社を受け皿としてメンテナンス業務を受注し、出資企業や協力会社などの“オール秋田”で取り組むことを目指す。

出資したのは、秋田県漁業協同組合、能代市浅内漁業協同組合、八峰町峰浜漁業協同組合、羽後設備、能代資源、能代電設工業、高橋秋和建設、大森建設の8社だ。新会社は大森建設の秋田支社内に設置され、大森グループ代表の大森三四郎氏が社長を務める。

新会社の最大の特徴は、地元の漁協が出資参画している点だ。洋上風力発電のメンテナンス業務を安全に行うには、天候や海上の状態に十分留意しなければならない。また、洋上の風車にアクセスする際などには、地元の漁業関係者と調整する必要もある。今回、地元の漁協3者が新会社の出資者として参加したことで、漁業関係者の海についての豊富な知識を生かし、メンテナンス業務を円滑に進行できると期待される。

風車メンテを地域の新産業に
漁業者と企業が協力して育成

秋田マリタイムサービスの設立にあたって秋田県の佐竹敬久知事を表敬訪問した大森社長は、洋上風力発電がさまざまな産業に経済的な波及効果をもたらすことに触れ「オール秋田として、新会社をそのつなぎ役の会社としたい」と意気込みを語った。佐竹知事も「漁業者と県内企業のお互いの振興につながってほしい」と述べた。

風力発電設備は、法令によって1年間に数日程度の定期点検が義務付けられている。今後、全国で風車が増えるに伴って、風力発電設備のメンテナンス業務に対するニーズも増大していく。こうした背景から、メンテナンス事業を地域の新たな産業として育て、経済発展につなげようとする取り組みも広がっていくだろう。新産業の育成にあたって、漁業関係者や地元企業が一丸となったモデルケースとして、秋田マリタイムサービスに期待が寄せられている。


文:山下幸恵(office SOTO)

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