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洋上風力第2ラウンド「秋田県八峰町・能代市沖」来年5月から漁業影響調査を開始

洋上風力発電の第2ラウンドで事業者を選定した「秋田県八峰町、能代市沖」の漁業影響調査の進め方を検討する委員会の初会合が9月18日、能代市で開かれた。今年度中に実施計画を策定し、来年5月から開始する方針が示された。

<目次>
1.建設工事の前後の6年間調査を実施
2.運転開始は2029年6月を目指す

 

建設工事の前後の
6年間調査を実施

洋上風力発電設備の建設・稼働で想定される漁業への影響(出典 秋田県)

洋上風力発電設備の建設・稼働で想定される漁業への影響(出典 秋田県)

検討委員会は、秋田県や漁業関係者、有識者などで構成されている。18日の初会合では、発電事業者が漁業影響調査のスケジュールと手法を説明した。それによると、漁業影響調査は発電事業者が外部の企業に委託し、建設工事の前後の6年間にわたり実施する。

具体的な内容としては、(1)操業影響調査、(2)生物影響調査、(3)環境影響調査の3つの項目の調査を実施する方針が示された。このうち、操業影響調査では、漁業者からの聞き取りとともに、建設前後の漁場位置、漁獲量、操業日数などを比較するとしている。

生物影響調査では、ハタハタ、カレイ・ヒラメ類、サケ・マス類、アユなどの重要魚種を主体として、シロギス、サワラ、ブリ類など、周辺海域に分布する種を網羅するとしている。また、風車柱体に付着することが想定されるカキ類などの付着生物や卵、海底付近に生息するイイダコなどの軟体類、ガザミ、クルマエビなどの甲殻類、ナマコ類、多毛類や、水中の動植物プランクトン、懸濁物質も調査する。

秋田県と発電事業者は、今後、検討委員会を2回開催し、漁業者や有識者と協議を重ねて今年度中に実施計画を策定し、来年5月から調査を開始する方針だ。

運転開始は
2029年6月を目指す

運転開始前の工程概要(出典 合同会社八峰能代沖洋上風力)

運転開始前の工程概要(出典 合同会社八峰能代沖洋上風力)

秋田県八峰町、能代市沖は、青森県と接する八峰町南部から能代市北部にかけての海域。公募占用指針によると、促進区域の面積は3239.4ヘクタール。事業計画によると、発電設備はモノバイル基礎の着床式。発電設備出力は37万5000kW (1万5000kW×25基、Vestas製)。出力変動対策として蓄電池などを活用するとしている。供給価格は、ゼロプレミアムの3円/kWh。

選定事業者は、ENEOSリニューアブル・エナジー(ERE)、イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、東北電力の3社で構成する特別目的会社。代表企業のEREは、ENEOSグループの再エネ事業会社。イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパンは、スペインに本社があるイベルドローラの日本法人。

事業計画によると、陸上工事は早ければ2026年3月に開始する。洋上工事の基礎施工は2027年5月から、海底ケーブルの施工は2027年7月から、風車の設置は2028年6月から取り掛かる。運転開始予定時期は2029年6月。

洋上工事を行う際の拠点港として、秋田港と室蘭港を利用する。これは、南側に隣接する第1ラウンド事業の「能代市・三種町・男鹿市沖」で、三菱商事を中心とする企業連合が建設の拠点港として能代港を利用するため、港湾利用の重複を避けるための措置とみられる。「能代市・三種町・男鹿市沖」は2027年6月から洋上工事に着手し、2028年12月に運転を開始する予定。運転開始後は、能代港をO&Mの拠点港として活用する。

DATA

秋田県八峰町、能代市沖における協議会 漁業影響調査検討委員会(第1回)


取材・文/高橋健一

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