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壱岐市、周辺5海域を導入可能性エリアとして承認 長崎県へ情報提供

長崎県壱岐市は、周辺の5海域を洋上風力発電の導入可能性エリアとして承認し、県へ情報提供を行った。現在、長崎県が国への情報提供について検討している。

配慮すべき条件も合わせて提示
地域の意見を反映する努力を継続

長崎県壱岐市は3月27日、同市周辺海域の5ヶ所を、洋上風力発電の導入可能性エリアとして県に情報提供することを承認した。同日に開催された壱岐市洋上風力発電等導入検討協議会で決定した。導入可能性エリアとは、関係機関から洋上風力発電の導入について協議を続けることに一定の理解を得られた海域。


(洋上風力発電の導入可能性エリア5ヶ所。出典:壱岐市洋上風力発電等導入検討協議会)

洋上風力発電等導入検討協議会の決定をうけて壱岐市は長崎県に対して、導入可能性エリアの位置情報だけでなく、漁場利用や船舶航行、海底ケーブルなどに対して配慮すべき条件も合わせて情報提供を行った。同協議会は、漁業関係者、地域住民代表、観光・商工・航路事業関係者、学識経験者などによって構成され、事業の最終的な意思決定の機関と位置付けられている。


(導入を検討する際に配慮すべき条件。出典:壱岐市洋上風力発電等導入検討協議会)

壱岐市における検討の経緯
県のゾーニングを市が引き継ぐ

壱岐市の周辺海域においては、2019〜2020年度に長崎県が洋上風力発電ゾーニング導入可能性調査を実施した。同調査では、導入可能性エリアの検討の予備段階としての候補エリア(案)を選定していた。しかし、漁業の操業や航行に影響を与える可能性が高いことや、事業性が見込めないことなどから、候補エリア選定に向けた方針を変更し、改めて漁業関係者へのヒアリングなどを行ったという経緯がある。

2021年度からは、同調査結果を壱岐市洋上風力発電等導入検討協議会が引き継ぎ、2022年度内の導入可能性エリアの承認を目指し、協議を進めてきた。同市では、市民約1,000人を対象に洋上風力発電の導入可能性検討のためのアンケートを実施するほか、多くの市民へ周知するために動画による情報発信などを行い、検討に取り組んできた。壱岐市からの情報提供をうけて、長崎県は今後の対応を検討している。長崎県新産業創造課は「利害関係者の特定を含めて関係部局と協議している」と説明している。

DATA

令和4年度 第3回 壱岐市洋上風力発電等導入検討協議会


文:山下幸恵(office SOTO)

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