青森沖と山形沖、促進区域の指定案を公告 第3ラウンドは少数激戦
2023/09/01
経済産業省と国土交通省は9月1日、「青森県日本海南側」と「山形県遊佐町沖」について促進区域の指定案を公告した。関係省庁と自治体で9月15日まで縦覧を行う。洋上風力発電公募の第3ラウンドは、2海域をめぐって少数激戦となる見通し。
(アイキャッチ画像 山形県遊佐町沖)
第三者委員会を踏まえ
2海域が基準に適合
経済産業省と国土交通省が2海域の促進区域案を公告
再エネ海域利用法では、経済産業大臣と国土交通大臣が促進区域の指定をしようとするときは、あらかじめその旨を公告し、当該指定の案を2週間にわたって縦覧することとしている。「山形県遊佐町沖」は2021年9月に、「青森県沖日本海南側」は2020年7月に「有望な区域」として整理され、その後、それぞれの区域で法定協議会を設置して、協議を進めてきた。
その結果、「山形県遊佐町沖」については今年3月29日に、「青森県沖日本海南側」は今年7月28日に、それぞれの協議会で、各区域を促進区域として指定することについて異存はないとする意見をとりまとめている。その後、有識者による第三者委員会の意見を踏まえ、再エネ海域利用法が定める促進区域の基準に適合することが確認されたことから、経済産業省と国土交通省は9月1日、促進区域の指定案を公告した。
青森県日本海南側
今年7月に意見集約
青森県日本海南側の促進区域案(出典 経済産業省)
青森県日本海南側は、県の南西部のつがる市と鰺ヶ沢町の沖合。今年7月に開催した第4回法定協議会では、選定事業者は地域や漁業との共存共栄の理念を理解し、丁寧な説明・協議の実施などを通じて、地域や漁業との信頼関係の構築と発電事業の安全性確保に努めること、海岸線から500m以内の海域には海底ケーブルを除く洋上風力発電設備などを設置しないこと、海底ケーブルの設置にあたっては、漁業に支障を及ぼすことがないよう、十分な深さでの埋設を行うなど設置方式に配慮することなどを求めていくことが了承された。
今後設置される基金への出捐規模については、本海域で活用することを希望するとして
情報提供のあった系統の最大受電電力量に、kWあたりの単価250 円と公募占用計画の最大認定期間30 年を乗じた額、すなわち確保済み系統容量(60 万 kW)×250×30 で算定される額を目安とすることで意見集約している。
山形県遊佐町沖
今年3月に意見集約
山形県遊佐町沖の促進区域案(出典 経済産業省)
山形県北部の遊佐町は、秋田県と接する人口約1万2000人の町。遊佐町沖については、今年3月に開催された第4回法定協議会で地元の意見を集約している。漁業との共存共栄を図るため、洋上風車については海岸線から1海里、1.85キロの海域には設置を認めないとしている。また、地元への利益還元のために設置する基金への出捐規模は、発電設備出力の規模に、kWあたりの単価250 円と公募占用計画の最大認定期間30 年を乗じた額、すなわち発電設備出力×250×30 で算定される額を目安とするとしている。
促進区域の指定案は、9月1日から15日まで経済産業省、国土交通省、青森県庁、つがる市役所、鰺ヶ沢町役場、深浦町役場、山形県庁、遊佐町役場などで縦覧を行う。その後、正式に促進区域に指定され、年内にも公募を開始する見通し。
DATA
取材・文/高橋健一