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政策・制度

経産省、浮体式洋上風力の低コスト化を実証 事業者を公募へ

経済産業省は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する浮体式洋上風力発電実証実験の候補区域に北海道、秋田、愛知の計4海域を選定した。今後事業者を公募し、最終的には2ヶ所程度が採択される見通し。

2023年度から
浮体式実証を開始

次世代浮体式洋上風力の技術開発のイメージ(出典 NEDO)

次世代浮体式洋上風力の技術開発のイメージ(出典 NEDO)

NEDOは、総額2兆円の「グリーンイノベーション基金」を活用して「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」を進めている。2030 年までに一定条件下で着床式洋上風力発電の発電コストが8~9円/kWhとなることを見通せる技術や、浮体式洋上風力発電を国際競争力のあるコスト水準で商用化する技術の確立を目指している。

2021年度から「フェーズ1」として、台風、落雷などの気象条件やうねりといった海象条件などが存在するアジア市場に適合し、日本の強みを活かせる要素技術の開発を4つの分野で取り組んでいる。2024年度からは、システム全体として関連要素技術を統合した浮体式洋上風力の実証事業を開始する。

最終的に
2ヶ所程度を採択

実施候補区域に選定された愛知県田原市・豊橋市沖

実施候補区域に選定された愛知県田原市・豊橋市沖

実施候補区域は、実証事業の実施により操業上の調整が生じる者から実証を実施することに対する理解が得られていること、将来、候補区域に隣接する区域の促進区域化を目指していること、候補区域の水深が50m以上であること要件としている。浮体式実証には4道県5区域の応募があり、有識者による第三者委員会の意見を踏まえて「北海道石狩市浜益沖」「北海道岩宇・南後志地区沖」「秋田県南部沖」「愛知県田原市・豊橋市沖」の4海域を選定した。

北海道石狩市浜益沖は、候補区域の面積が約250ha。想定出力が1万2000kW~3万kWで風車設置は1~2基程度、漁業への影響を考慮し浮体形式をTLP方式とすることを条件としている。

北海道岩宇・南後志地区沖は、神恵内村・泊村・共和町・岩内町・蘭越町・寿都町の6町村の沖合で、候補区域は最大3万4800haのうち50m以深の海域を対象とする。想定出力は1万~7万kW。風車設置は5基以内とし、調整先に日本海さけ・ます増殖事業協会を含めることなどを条件としている。

秋田県南部沖は、由利本荘市とにかほ市の沖合で、候補区域の面積は約3000ha。想定出力は4万5000~9万kWで、風車設置は3~6基程度。愛知県田原市・豊橋市沖は候補区域の面積が約1306ha。想定出力は1万~3万kWで風車設置は1~2基を想定している。

今後は、NEDOが事業者を公募する。公募に参加する事業者が候補区域のなかから実証を行う区域を選択し、実証の実施計画を作成する。その後、NEDOにおける採択審査を経て、最終的に実証を行う事業者および区域(2ヶ所程度)を決定する。実証の事業者公募に関する情報は、必要な準備が整い次第、NEDOが公表する。

DATA

グリーンイノベーション基金フェーズ2(浮体式実証)の実施候補区域について

洋上風力発電の低コスト化プロジェクト


取材・文/高橋健一

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