欧米で採用が進む浮体向け「合成繊維製ケーブル」を日本に! アイルエンジニアリングの挑戦
2024/02/22
浮体式洋上風力発電を支える合成繊維ケーブルや、海中の電力ケーブルの保護システムなどを提供するアイルエンジニアリング。世界で注目のソリューションをいち早く国内に導入し、洋上風力発電分野における存在感を高めている。
▲ 緊張係留式プラットフォームにアラミドケーブルが採用されている。
欧州の先進企業と提携
世界のノウハウを日本へ
モノパイルの運搬に活用されるアラミドケーブル。
岡山県倉敷市に本社を置くアイルエンジニアリングは、太陽光発電事業を基盤としながら、新たな事業領域へ活躍の幅を広げている。同社は2022年、ケーブル・プロテクション・システム(CPS)で知られる英国のTekmar(テクマール)と業務提携し、洋上風力発電事業に参入した。続いて協力関係を結んだのは、風車の国・オランダのケーブルメーカーであるFibreMax(ファイバーマックス)だ。
帝人のアラミド繊維『トワロン』が使われたケーブル。軽量でフレキシブルなため施工しやすく、 現場作業員の人数や作業船のチャーター 期間の削減にも役立つ。
同社の合成繊維製ケーブルは去年2月、洋上風力発電のエンジニアリング会社である英国のマリン・パワー・システムによって、TLP(Tension Leg Platform、緊張係留)方式の浮体式洋上風力発電に世界で初めて採用された。合成繊維製ケーブルには、帝人のアラミド繊維「トワロン」が使われる。(参考:世界初! TLP方式の浮体式洋上風力発電に合成繊維製ケーブル採用。軽量化でコスト低減)
独自のエンドレスワインディング
耐荷重の高いケーブルを製造
ファイバーマックスが独自開発したエンドレスワインディング技術は、繊維を編み込む回数によって、求められる強度に応じたケーブルを製造する独自技術。最高1.7万キロニュートンの強度を実現した。
ファイバーマックスは、独自の製法を編み出し、帝人のアラミド繊維を用いた合成繊維ケーブルを製造している。自社開発の「エンドレスワインディング」という製法では、繊維を何万回も巻き込んで、高い荷重に耐えられる長大なケーブルを作ることができる。
この製法で、アラミドケーブルの耐荷重を1.7万キロニュートンにまで高めることに成功した。欧州の他、米国でも2件の採用が決まったという。
アラミドケーブルには、重量が鉄の5分の1で強度と耐久性が高く、柔軟で取り回しが容易なため施工しやすいといったメリットがある。スチールワイヤーに代わる新製品として、洋上風力発電分野の他に、クレーンなどの建設重機や建築資材のタイロッドなど、高強度、高張力が求められる分野での活用が進む。
アラミドケーブルの提供を通じ
日本の洋上風力発電事業に貢献
こうしたアラミドケーブルに着目したアイルエンジニアリングは、半年にも及ぶ直談判を経て、ファイバーマックスの製品すべての日本における独占販売契約を締結した。世界で主流になりつつあるアラミドケーブルを通じて、日本の洋上風力事業や、それを支える様々な分野への貢献を目指す。
同社との提携にあたって、ファイバーマックスの再エネ部門の責任者であるサンダー・G・ファン・ヘルヴォルト氏は「アイルエンジニアリングとのコラボレーションによって、日本のエネルギー転換における重要な役割を果たすことを約束します」という力強いメッセージを寄せた。
話を聞いた人
FibreMax
Director Renewable Energy
サンダー・G・ファン・ヘルヴォルト氏
「先駆的なケーブルソリューションで、日本の着床式・浮体式洋上風力発電に貢献します」と語るファイバーマックスのサンダー・G・ファン・ヘルヴォルト氏。
アイルエンジニアリング株式会社
代表取締役
玄 馬淳氏
問い合わせ
アイルエンジニアリング株式会社
〒712-8061
岡山県倉敷市神田3丁目15-2
TEL:086-441-6400
FAX:086-441-6401
E-mail:Info@airu-eng.jp
WIND EXPO【春】に出展!
ブース番号:W19-82
取材・文/山下幸恵(office SOTO)
WIND JOURNAL vol.06(2024年春号)より転載
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