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洋上風力第2ラウンド「長崎県西海市江島沖」トンネル掘削を縦方向に応用する国内初の工法を採用

長崎県西海市江島沖の第4回法定協議会が11月22日に開催され、選定事業者が風車の配置予定図と工事概要を説明した。海底の地盤は岩盤だが、トンネル掘削技術を縦方向に応用する国内初の工法を採用する考えを明らかにした。

<目次>
1.風車配置図を説明さらなる最適化を図る
2.トンネル掘削技術を縦方向に応用
3.地元企業を積極的に活用する方針


風車配置図を説明
さらなる最適化を図る

長崎県西海市江島沖
長崎県西海市江島沖の風車配置予定図(出典 みらいえのしま合同会社)

長崎県西海市江島沖で洋上風力発電事業を実施するのは、住友商事と東京電力リニューアブルパワー(東電RP)が出資する「みらいえのしま合同会社」。西海市江島沖は、西彼杵半島の西方沖にある江島を囲む海域で、促進区域の面積は3983.8ヘクタール。計画によると、最大出力は42万kW。1万5000kWの洋上風車を28基設置する。風車はVestas製で、供給価格は、22.18円kWh。

第4回法定協議会では、みらいえのしま合同会社がメンバーに加わり、公募占用計画に記載した風車の配置予定図を説明した。風車の配置にあたって事業者側は、既設海底ケーブルから一定の離隔を取り風車を配置すること、船舶の安全航行のため航路から500m以上の離隔を取った風車配置を検討していること、工事期間中も含めた同海域における航行の安全確保に向けて、船舶航行安全委員会の立ち上げの準備を進めていること、島内居住者に対する騒音などの影響防止の観点から江島島内の住宅から800m以内の海域に洋上風力発電設備等を設置しないことに配慮するとしている。そのうえで、漁業者やフェリー会社の意見とともに、海底地盤調査、環境アセスメント、世界遺産影響調査などを踏まえ、風車配置のさらなる最適化を図っていくことを強調した。


 

トンネル掘削技術を
縦方向に応用

長崎県西海市江島沖
長崎県西海市江島沖の事業実施スケジュール(出典 みらいえのしま合同会社)

事業実施スケジュールについては、早ければ2025年1月に陸上工事を開始し、28年3月から洋上工事を始める。そして、29年8月の運転開始を目指す考えだ。建設期間の拠点港は北九州港(福岡県)だが、船舶での輸送時は長崎港を経由する。メンテナンスは西海市内の港湾を活用する。

西海市江島沖は、海底の地盤が岩盤であることが大きな課題となっている。みらいえのしま合同会社の島田茂東社長は、海底が非常に固い岩盤になっているため、岩盤掘削船で岩盤を掘削して土砂処理を行ったのちにモノバイルを設置する予定だとして、トンネル掘削技術を縦方向に応用する工法を採用する考えを明らかにした。

地元企業を
積極的に活用する方針

長崎県西海市江島沖
長崎県西海市江島沖
長崎県西海市江島沖の業務実施体制(出典 経済産業省)

詳細な業務実施体制は明らかにされていないが、風車の製造と据え付けはベスタス、洋上の基礎工事は五洋建設が担当する。また、運転期間中は風車の維持・管理をベスタス、海上・陸上構造物の保守・管理を東電RPが担う。

みらいえのしま合同会社では、住友商事の欧州での実績と東電RPの経験・ノウハウ・人的資源などを最大限活用して事業を進めるとしている。また、Vestas社をはじめ、国内外で豊富な実績・高い専門性を有する企業などで実施体制を構築する考えだ。協力企業や資機材調達先の選定にあたっては、サプライチェーンの構築に向けて、国内企業や地元企業の積極的な活用を進めるとしている。

12月12日(木)に開催する「第4回WINDビジネスフォーラム」では、北海道石狩市企業連携推進課の新産業創出担当課長 池内直人氏と、北海道寿都町公営企業企業管理課の風力発電事業係長 土開直樹氏が講演します。


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DATA

長崎県西海市江島沖 法定協議会


取材・文/高橋健一

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