【速報】秋田市のブレード落下事故で最終報告書「構造上の問題と損傷の未確認が原因と推定」
2026/01/21
昨年5月、秋田市の風力発電所でブレードが落下した事故で、発電事業者のさくら風力が1月21日、最終報告書を公表した。「構造上の問題」による炭素繊維強化プラスチック製スパーキャップの損傷と、「損傷箇所が点検の範囲外」となっていたことが原因と推定されると結論づけている。
構造上の問題で
CFRP製スパーキャップが損傷

破損したブレードの取りはずし作業 (写真提供 株式会社新エネルギー技術研究所)
2025年5月2日午前、秋田市新屋町の海岸近くに設置されている新屋浜風力発電所からブレード1枚が落下し、その近くで倒れていた81歳の男性が死亡した。ブレードは付け根の部分が折れて、数十メートル離れた休憩所付近に落下し、その近くで男性が頭にけがをして倒れていたという。
発電事業者のさくら風力は、事故の10日後に風力発電と環境条件の外部専門家による事故調査委員会を設置して原因究明を進めてきた。1月21日に開かれた経済産業省の有識者会議で最終報告書が公表された。
最終報告書では、事故原因としてブレード内部において、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製スパーキャップ部と、ダウンコンダクター、それに接続されたC形金属が、電気的に接続されていない構造であったことから、被雷時にそれらの間で大きな電位差が生じて放電が発生し、損傷が生じたと推定されると結論付けた。
損傷箇所は
点検の範囲外

破損したブレードの搬出作業 (写真提供 株式会社新エネルギー技術研究所)
そのうえで、ブレードに設置されていた中間レセプター、それとダウンコンダクターをつなぐC形金属が取り外される前の落雷で損傷を受け、損傷が拡大し折損に至ったと推定されるとしている。損傷箇所は点検の範囲外であり、保守会社は、その後のブレード点検において、被雷による損傷や積層部のはがれが拡大・進展していることを見つけ出せなかったため、損傷は修繕されず、その後の長期間運用により拡大し、ブレードの強度が低下し、折損に至ったとしている。
可及的速やかに
撤去して事業を廃止
発電事業者のさくら風力は、事故が発生した新屋浜風力発電所について、可及的速やかに撤去し事業を廃止する方針だ。また、メンテンナンス事業者は、(1)事故機と同じCFRPブレードを持つ13基の同型風車に落雷検出装置を新設し、通常検出する電荷量と電流値に加えて、電流変化率di/dtの検知機能を追加し、落雷検出能力を強化すること、(2)落雷で風車が停止したあとは、ブレ―ドの非破壊検査を行い損傷の有無を確認すること、(3)保守会社とメーカー間の情報共有を密に行う体制を確立し、未経験な事象や不具合事象に対しては、保守会社とメーカーの間で協力して解決を試みることの3点に取り組む考えを明らかにした。
風車設置者やメーカーに
聞き取り調査を実施へ
経済産業省電力安全課は、最終報告書を受けて、(1)既存の風力発電所について、事故機と同様のダウンコンダクターとCFRPが電気的に接続されていない構造のブレードの使用の有無を確認するため、風車の設置者やほかのメーカーへの聞き取りを行い、その結果を踏まえ、必要に応じて、安全確保に向けた対応を行うこと、(2)雷撃からの保護に関するブレード内部の構造(ダウンコンダクターとCFRPの電気的接続)について、「発電用風力設備の技術基準の解釈」の記載の明確化を検討すること、(3)ブレード内部の点検においてアクセス困難な箇所では、ダウンコンダクターのみではなく、ブレードの内部全体を検査範囲とすることを検討すること、(4)事故の原因分析により得られた保安に関する知見について、業界団体と協力して、横展開・情報共有していくこと、(5)外観からは必ずしも分かり得ないブレードの複合材内部の損傷を点検する最適な技術的方法を検討すること、(6)事故の原因分析により得られた保安に関する知見について、業界団体と協力して、横展開・情報共有していくことの6点の対策案を示した。
DATA
第24回 産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会 電気設備自然災害等対策ワーキンググループ
取材・文/ウインドジャーナル編集部









