【洋上風力】サプライチェーン・基礎の量産体制に強み 伊藤忠丸紅鉄鋼
2021/08/30
伊藤忠と丸紅の鉄鋼製品部門を分割・統合して2001年10月に設立した伊藤忠丸紅鉄鋼。鉄鋼流通ビジネスの専門性を維持した上で、総合商社が持つグローバルな情報・ネットワークを活用し、風力発電をはじめとするエネルギー、自動車、家庭用家電など、鉄鋼製品の輸出入、加工、販売を手掛ける。同社の村中就矢氏に、主な事業や風力発電関連の取り組みについて聞いた。
鉄鋼製品の輸出入、加工、販売を手掛ける
――――主な事業と風力発電関連の取り組みは。
当社は風力や造船、オイル&ガス、家電、自動車など、全ての業界の鉄鋼を取り扱っています。日本の高炉・電炉メーカーに満遍なく取り引きさせていただき、かつ客先に寄り添ったサービス・サプライチェーンを提供しています。
――中国の洋上風力基礎材専門メーカー、ストロング・ウインド社との関係や実績は。
当社はストロング・ウインド社と対日独占販売契約、いわゆる代理店契約を結んでいます。ストロング・ウインド社はモノパイル、トランジションピース(TP)、ジャケットのみならず、浮体の製造まで検討しており、ご用命いただきましたら、当社が日本側の窓口、契約当事者として、ストロング・ウインド社が製造した洋上風力発電向け基礎製品を納入させていただきます。
実績としましては、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の案件で、福島県の浮体式洋上風力発電の実証事業に携わらせていただきました。当社が風車のタワー部分の製造を受託し、ストロング・ウインド社の親会社、ブルーウォーター・グループが、同社のファブリケーション・ヤード(製造施設)で製造した実績があります。
ストロング・ウインド社が既に量産体制を築き上げていることが大きな強みです。そして、ストロング・ウインド社のファブリケーション・ヤードは海や運河に面していますので、船での出荷を非常にスムーズにできるのも強みの一つといえます。
――その他の洋上風力関連の実績は。
国内造船メーカーより半潜水型スパッド台船の建造を受託し、納入させていただいた実績があります。また、その他にSEP船(自己昇降式作業台船)のレグ(4本)の製造を受託し、納めさせていただきました。
中国は洋上風力関連事業の先進国になりつつあり、目下、実績を積み重ねています。2020年の実績としては、中国は洋上風力の新規導入量でイギリスを抜いて世界トップです。したがって、既に中国にはモノパイルやジャケットのサプライチェーンが確立されています。その企業の一つが、当社が対日独占販売契約を結んでいるストロング・ウインド社です。
――洋上風力関連事業の御社全体の業績への寄与度は。
新たな成長分野に注力したいと考えています。当社は福島浮体式向け取り組みを皮切りに洋上風力の分野に注力しており、万全の体制を整えています。
話を聞いた人
伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社
厚板・条鋼部 インフラ建材貿易課 課長代行
村中就矢(むらなか・なるや)氏
取材・文 / 山村敬一