青森県 再エネ共生税条例案の骨子を公表「既存施設は課税対象外に」
2024/12/25
青森県は12月19日、陸上風力と太陽光の発電事業者に税を課す「県再生可能エネルギー共生税条例案」の骨子を公表した。使途を限定しない法定外普通税として、既存の発電施設には課税しない方針だ。
2000kW以上の太陽光発電と
500kW以上の陸上風力発電が対象
ゾーニングの設定案(出典 青森県)
12月19日に開催された第6回青森県自然・地域と再生可能エネルギーとの共生制度検討有識者会議で公表した。条例案の骨子によると、課税の対象は2000kW以上の太陽光発電設備と500kW以上の陸上風力発電設備で、使途を限定しない法定外普通税とする方針だ。既存の発電設備には課税しない。
青森県は、再エネの導入を推進しながら自然環境保護や地域住民との共生を図るため、県全域を再エネ推進エリアと開発禁止エリアなどに区分する「ゾーニング」を実施する。ゾーニングでは、国立公園など原則として事業を認めない「保護地域」として、一定の規制を設ける「保全地域」、それ以外の「調整地域」を設定する。「保全地域」、「調整地域」のうち、市町村からの要望で知事が指定したエリアを「共生地域」とする。
再エネを推進する
共生地域を非課税に
税率の設定案(出典 青森県)
条例案では、ゾーニングの区分に応じて税率を設定している。国・地方公共団体等が所有する再エネ発電設備、建築物の屋根に設置する太陽光発電設備、そして、再エネを推進する「共生地域」に導入する設備は非課税とする。「調整地域」は太陽光発電が出力1kWあたり110円、風力は同300円。「保護地域」、「保全地域」では、太陽光発電が出力1kWあたり410円、風力が同1990円kWとし、高い税率を課して立地の回避を目指す。
2023年6月に就任した青森県の宮下宗一郎知事は、再エネ推進と自然との共生を県知事選挙の公約に掲げている。宮下知事は同年9月に「自然環境と再生可能エネルギーとの共生構想」を発表し、「青森県の自然が搾取されていくような環境はなんとか防ぎたい。今回の構想を通じて、美しい雄大で青森県の自然を残して、一方で再エネも推進していけるように取り組んでいきたい」と述べた。そのうえで、宮下知事は自然環境と再エネの共生を目指し、大規模開発を伴う再エネ事業を課税対象とする新税の創設を検討することを明らかにした。
青森県は来年2月の県議会に条例案を提出する。自治体による再エネ課税の条例制定は宮城県に次いで全国2例目。県全域のゾーニングと組み合わせた税条例は、施行すれば全国初となる。
DATA
青森県自然・地域と再生可能エネルギーとの共生制度検討有識者会議について
取材・文/高橋健一