【洋上風力第1ラウンド】東京電力RPが千葉県銚子市沖で環境アセスを開始 再挑戦の背景とは
2026/09/28
東京電力リニューアブルエナジー(東電RP)が、8月21日から千葉県銚子市沖の洋上風力発電事業で計画段階環境配慮書の縦覧を開始した。長年にわたって同海域で地盤固めの努力を重ねてきた東電グループが捲土重来を期して再挑戦する。
メイン画像:千葉県銚子市沖の洋上風力発電所(写真提供 東京電力RP)
最大27基の風車を設置
発電出力は42万kWを想定
銚子市沖の事業実施想定区域(出典 東京電力リニューアブルエナジー)
計画段階環境配慮書によると、発電出力は42万kW。1基当たり定格出力1万5000~2万kWの風車を21~27基設置することを想定している。海面からの高さは約250~310mに達する。風車の基礎はモノパイル式とジャケット式を検討している。事業実施想定区域は海洋再エネ整備法に基づいて設定された促進区域のうち名洗港湾区域を除く約4000haのエリア。基礎や風力発電機の組み立て・設置、海底ケーブル敷設などの各工事は2031年度以降、運転開始は32年度以降を見込んでいる。
同海域は第1ラウンドの1回目の公募で、三菱商事を中心とするコンソーシアムが落札した。しかし、建設コストや金利上昇などを受けて事業性を再評価した結果、昨年8月に事業継続が困難と判断し、開発中止を決めている。

実証から商用化まで
銚子市沖で築いた知見を活用
千葉県銚子市沖の洋上風力発電所(写真提供 東京電力RP)
東電RPが銚子市沖で洋上風力発電の取り組みを開始したのは2009年。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業で実証試験に取り組み始めたのがきっかけだ。10年には海底地盤のボーリング調査、12年にかけては風車・観測タワーの基礎を製作・設置し、13年には2400kWの風車1基で実証運転を開始した。この取り組みは、沖合における国内初の洋上風力発電の実証として注目を集めた。その後17年まで実証運転が行われ、風況、塩害、台風・地震などへの耐久性、漁業・海鳥などへの影響を検証して実証試験は終了した。
東電RPはこの実証風車を撤去せず、商用資産に転換して19年に商業運転を開始し、いまも継続して稼働している。そして同年にはオーステッドと銚子市沖洋上風力に関する協業で合意し、翌20年3月には両社共同で「銚子洋上ウィンドファーム」を設立して、39万kW級の大規模洋上風力発電事業の開発体制を構築した。20年7月には同海域が促進区域に指定され、21年には東京電力RPが公募占用計画を提出している。
しかし同年12月に三菱商事を中心とするコンソーシアムが第1ラウンドの3海域すべてを落札したことで、東京電力グループは同海域での大規模事業計画を断念せざるを得なくなった。国による公募が行われるまでの間に洋上風力事業推進に向けて地域との協議を重ねてきた企業が、価格評価を重視する制度によって当該地域での事業を推進できなくなるという状況が第1ラウンドの3海域すべてで発生した。
地元の自治体や漁協関係者も、突然、交渉相手が変わり、信頼関係をイチから積み上げていかなくてはならないことに戸惑っていた。そうした混乱を招いた末に、建設コストが上昇して事業採算性を確保できなくなったことが、日本の洋上風力発電を停滞させる大きな要因となっていることは間違いない。
17年の知見・信頼を礎に
銚子市沖の事業に再挑戦
ただ東電グループは、それでも銚子市沖の洋上風力そのものから撤退するという判断をしなかった。これまでの同市沖での実証や商用運転を通じて得た、開発からEPC(設計・調達・建設)、O&M(運転・維持管理)のノウハウを、国内外の大規模ウインドファームに生かしていこうと地道な活動を続けていた。一度は途切れたものの、地元の自治体や漁協関係者と築き上げた信頼関係もある。
しかし、第1ラウンド3海域の再公募は先行きが不透明だ。政府は、着床式の発電コストについて30円/kWh程度までを優先的に案件形成を進める目安とする案を示している。第1ラウンドのすべての海域が直ちに再公募の対象になるとは限らない。そうしたなか、東電グループは環境影響評価手続きを開始し、銚子市沖の事業に再挑戦する意思を示した。

DATA
取材・文/宗 敦司









