注目キーワード

English 日本語

業界トピック

風力発電を雷サージの被害から守るには? 電源用SPDで電気系統への侵入を防げ

安全に風力発電事業を営むうえで欠かせないのが、雷サージへの対策だ。雷サージは、一瞬にして電気系統や通信線を破壊してしまう。雷サージ対策に役立つ「電源用SPD」の有効性を説く。

陸上風力発電でも雷対策は必須
電気系統を破壊する雷サージ

洋上風力発電はもちろん、山頂付近などに設置されることのある陸上風力発電でも、雷対策は不可欠だ。風力発電は、地面から上部のナセルに至るまで、上下方向にケーブルが敷設される。そのため、制御回路などに雷の被害を受けやすい構造だとされる。

特に、雷による一時的な過電流・過電圧である「雷サージ」は、電気系統に侵入し、設備を破壊する恐れがある。雷サージによる被害を防ぐには、電源線や通信線といった侵入ルートに応じた適切な対策を施す必要がある。

電源線から侵入する雷サージへの対策として挙げられるのが、電源用SPDだ。SPDとは「サージ防護デバイス(Surge Protective Device)」の略。雷サージを安全に放出することで、過電圧・過電流による被害を防ぐ。「避雷器」と呼ばれることもあり、発電設備はもとより、さまざまな建物や電柱などでも活用されている。

電源用SPDで雷サージ対策
万全の安全策で機会損失を回避

1965年に設立された電子機器メーカーである昭電は、風力発電向け電源用SPDを開発している。同社が2020年4月から販売している「AFD-Sシリーズ」は、電源用SPDの最上位モデルだ。

「AFD-Sシリーズ」は、電源用SPDの試験規格JIS C 5381-11に対応し、故障表示や警報接点出力機能を備えている。また、SPD分離器(電流ヒューズ)を内蔵したことで、省スペース化と施工性の向上を両立した。

さらに、同シリーズには、雷によって電源用SPDが故障しても、SPDを電源回路から安全に切り離すことができる「安全遮断技術SITS」が採用されている。これによって、SPDが故障した際の発火の危険性を排除することができたという。

風力発電設備でトラブルが発生すると、修理や交換のために多額のコストが必要になる。高所作業が必要なケースなどでは、なおさらだろう。発電を止めることによる機会損失を避けるためにも、電源用SPDなどの雷サージ対策は万全にしておくのが得策だ。

DATA

株式会社昭電:電源用SPD(避雷器)AFD-Sシリーズ


文:山下幸恵(office SOTO)

アクセスランキング

  1. 第7次エネルギー基本計画を年度内策定へ 再エネ電源比率が焦点
  2. 第1回青森浮体式洋上風力サミットを10月30日に開催 青森港の活用方法を議論...
  3. 【特集】洋上風力「第3ラウンド」の動向まとめ 青森、山形の2海域を徹底分析!...
  4. 【第2ラウンド深堀り解説①】第2ラウンド4海域 それぞれ別々の企業連合が選定事業者に...
  5. 浮体式実証「フェーズ2」2海域ともに セミサブ型を選定
  6. 太平洋マテリアル、洋上風車向けグラウト材で国内メーカー初の国際型式認証取得...
  7. 【洋上風力第3ラウンド】事業者公募がきょうで終了 少数激戦へ
  8. 圧延ロールのグローバルリーダーDaviが、日本市場での活動を本格化
  9. 【洋上風力第2ラウンド】10月24日に「秋田県八峰町・能代市沖」関連工事のマッチングフォーラムを開催...
  10. 【 参加無料 】12/12 WINDビジネスフォーラム ~ラウンド最新動向とサプライチェーン構築~...

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.07 | ¥0
2024/9/11発行

お詫びと訂正