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“羽根のない風車”を開発のチャレナジー、前澤ファンドから12億円調達

台風でも発電できるという「垂直軸型マグナス式風力発電機」を開発するベンチャー企業、チャレナジー。同社はこのほど、ファッションEC「ZOZO」創業者の前澤友作氏が代表取締役を務めるファンドから総額12億円の資金調達を行った。

(アイキャッチ画像出典:株式会社チャレナジー)

円筒が回る「マグナス力」を活用
全方向の風や突風でも稼働が安定

チャレナジーは、東日本大震災をきっかけに「垂直軸型マグナス式風力発電機(マグナス式風車)」の開発に取り組んでいる。マグナス式風車は羽根のない垂直軸型の風車で、プロペラによる揚力ではなく、円筒が回転することによって発生するマグナス力※を利用する。

そのため、全方向の風に対応でき、風速に応じて風車の回転数を制御できるという特徴がある。回転数を制御することで、突然の強風でも暴走することなく安定的に発電できるのが大きなメリットだ。風速が毎秒4メートルから発電を開始し、最大で風速40メートルまで発電を継続できるという。

これに対して、既存の風力発電機では風速25メートル程度までしか対応できないとされる。なお、一般的な風車は、軸の向きが地面と水平な「水平軸型」だ。

最大の特徴は、総発電量で既存の風力発電機を上回る点だ。マグナス式風車は、円筒を電動モーターで駆動させることによる消費電力が発生するため、発電量からモーターの消費電力を差し引いたものが正味発電量となる。このため、既存の風力発電機より発電効率は劣るが、発電可能な風速域が広いことから設備稼動率が向上し、総発電量が多くなるという。

※マグナス力とは「回転する円柱または球が一様流中(風や水の流れの中)に置かれたときに、その流れの方向に対して垂直の方向に力が働くこと」を指す。(出典:株式会社チャレナジー)

台風11号の通過時も正常に発電
調達した資金で大型化に本格着手

チャレナジーは、世界で初めてマグナス式風車の実用化に成功した。2018年8月には、沖縄県石垣島で10kW機の実証実験を開始し、2020年度に量産化。2021年8月からはフィリピンで稼働している。石垣島とフィリピンの双方では、令和4年台風11号の通過時も正常に発電を続けたという。

9月22日には、前澤友作代表取締役の前澤ファンドを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額約12億円の資金調達を行なったことを発表。この資金をもとに、マグナス式風車のさらなる大型化に本格的に着手するとともに、採用や組織体制を強化する予定だとしている。

前澤氏は出資に際し「宇宙から見た地球は美しくも儚くも見えました。次世代型風力発電マシーンで、全人類に安心安全な電気を届けようとするチャレナジー社の挑戦を全力で応援します」とのコメントを寄せた。「風力発電にイノベーションを起こし、全人類に安心安全なエネルギーを供給する」というチャレナジーのビジョンが、実現に一歩近づいたようだ。

DATA

株式会社チャレナジー プレスリリース


文:山下幸恵(office SOTO)

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