注目キーワード

English 日本語

国内事例

北海道石狩湾沖で大規模発電計画ラッシュ

関西電力は、北海道石狩市沖で最大出力178万5000キロワットの洋上風力発電の事業計画を公表し2月24日から環境影響評価の手続きを開始した。石狩市や小樽市などが面する石狩湾沖では、国内外の大手企業が大規模な洋上風力発電事業を相次いで公表し、10の事業計画がひしめく事態となっている。

最大出力は
178万5000キロワット


関西電力の事業実施想定区域(出典 関西電力)

関西電力は、石狩市の沖合約3キロ、南北に約50キロの海域に洋上風車を設置する計画を公表した。1万2000~1万5000キロワットの風車を最大130基設置する。海面からの高さは250~270メートルと見込む。工事期間や運転開始時期は未定。2月24日から4月7日まで、環境影響評価の第1段階である「計画段階環境配慮書」の縦覧を北海道庁や石狩市役所などで実施するほか、同社のホームページでも公表する。洋上風車の基礎構造は着床式で、最大出力は178万5000キロワット。実現すれば、道内最大の火力発電所である北海道電力苫東厚真火力発電所(厚真町)の総出力165万キロワットを上回る規模となる。

関西電力は、再エネ分野で大規模洋上風力発電を中心に2040年までに新たに国内で500万キロワットの電源開発を進める考えを明らかにしている。英国やフィンランド、ドイツで風力発電プロジェクトに参画し、ノウハウの蓄積を急ぐ。2022年3月には「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて定量的な目標や具体策をまとめた工程表を発表した。当面の目標として、発電による二酸化炭素(CO2)排出量を2025年度に2013年度比で半減する方針。その達成に向けて2040年までに、国内では洋上風力を軸に再エネの新規開発などに1兆円規模の事業費を投じる。今年1月には秋田県の秋田、能代港湾区域で、関西電力が出資する特別目的会社が国内初の大規模商業運転を本格的にスタートしている。

石狩湾沖で
10の事業計画

北海道石狩湾沖は大消費地の札幌市に近く、石狩湾新港地域の工業団地への電力供給が期待されている。再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に向けて、2021年9月に「一定の準備段階に進んでいる区域」に位置づけられた。風況が良く遠浅であることから、大手商社や再エネ事業会社などが、これまでに10の事業計画を相次いで公表している。

石狩湾沖の洋上風力発電事業のなかで規模が最も大きいのは、日本風力開発の事業計画。石狩市沖と小樽市沖で最大出力300万キロワットの事業を計画している。2030年の稼働を目指し環境影響評価の手続きを進めている。実現すれば、北海道電力泊原子力発電所(泊村)の207万キロワットを上回り、道内最大の発電施設となる。

石狩湾洋上風力合同会社は、最大出力133万キロワットと103万2000キロワットの2つの事業計画を公表している。同社は、再エネ事業会社のINFLUXが100パーセント出資する特別目的会社。INFLUXは、北海道南後志沖や青森県沖、佐賀県沖、長崎県沖、鹿児島県沖で洋上風力発電プロジェクトを進めている。

コスモエコパワーとシーアイ北海道合同会社、丸紅は、いずれも最大出力100万キロワットの事業を別々に計画している。このうち、シーアイ北海道合同会社は、デンマークの大手ファンド運用会社「コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)」の日本法人が設立した事業会社。2020年に三菱重工業が資本参画している。このほか、旧トーメン(現 豊田通商)の元社員が中心となって設立したグリーンパワーインベストメントが96万キロワット、JERAが52万キロワットの事業計画を公表している。

グリーンパワーインベストメントが設立した合同会社グリーンパワー石狩は、2022年9月から洋上工事に着手している。計画では、石狩湾新港の沖合約1600メートルに8000キロワットの風車14基を設置する。清水建設が建造した大型SEP船が今年7月から洋上風車を設置し、12月に商業運転を開始する予定。

送電線容量不足や
漁業者との調整が課題


日本海に面した北海道檜山沖

合同会社グリーンパワー石狩を除く9つの事業計画は、いずれも石狩湾沖が再エネ海域利用法に基づく「促進区域」に指定されることを前提としている。石狩市は「促進区域」の前段階となる「有望な区域」への昇格を目指しているが、2022年9月には選定されなかった。道内の送電線の空き容量が不足しているとともに、漁業者などの利害関係者との調整の見通しが立っていないことが課題とされている。

北海道では、「石狩市沖」「岩宇・南後志地区沖」「島牧沖」「檜山沖」「松前沖」の計5海域が「一定の準備段階に進んでいる区域」に位置づけられている。しかし、洋上風力発電を優先的に整備する「促進区域」や、その前段階の「有望な区域」に選ばれている海域は、北海道沖にひとつもない。石狩市では、漁業者との調整などの課題を早期に解決して2023年度中の「有望な区域」への昇格を目指す方針だ。

DATA

関西電力 石狩市沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書の縦覧について


取材・文/高橋健一

関連記事

和歌山県庁
WJ_EXECUTIVE05
鰺ヶ沢町沖

アクセスランキング

  1. 洋上風力第2ラウンド ”秋田県男鹿市、潟上市、秋田市沖” 漁業影響調査「来年4月の開始を目指す」...
  2. 浮体式洋上風力実証事業「フェーズ2」 秋田県南部沖と愛知県田原市・豊橋市沖の2海域を選定...
  3. 【特集】洋上風力「第3ラウンド」の動向まとめ 青森、山形の2海域を徹底分析!...
  4. コスモエコパワー初のコーポレートPPA パナソニックグループへ風力の電気を提供...
  5. 【第2ラウンド深堀り解説①】第2ラウンド4海域 それぞれ別々の企業連合が選定事業者に...
  6. 【第3ラウンドの最新動向】 山形県遊佐町沖は異例の展開、30前後の事業体が参入...
  7. 浮体式洋上風力トップ3社に聞く、日本が直面する課題と突破口
  8. 洋上風力第3ラウンド 、青森、山形の2海域で公募開始 評価基準の配点は変更なし...
  9. 【第3ラウンド最新動向】洋上風力第3ラウンドは少数激戦に ~ 青森沖と山形沖の行方 ~...
  10. 洋上風力「第1ラウンド」はすべて三菱商事系が落札! 圧倒的な低価格の理由は?...

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.06 | ¥0
2024/2/28発行

お詫びと訂正