【第3回 EXECUTIVE INTERVIEW】トップランナー達の次なる一手 風力発電の課題にどう挑む?
2022/10/05
2030 年の再エネ⽐率⽬標達成には、まだまだ課題が山積みだ。それら課題を解決するために、エグゼクティブ達は何を考えるのか。日揮と日鉄エンジニアリングのソリューションについて聞く。
浮体設計会社との協業や出資を通して培ったノウハウで
洋上風力発電推進に貢献
当社は着床式に加え、国内洋上風力発電で大きな可能性がある浮体式にも注力しています。
浮体式における課題としては、浮体及び係留技術確立、事業コスト最適化、国内サプライチェーン拡充、超大型プロジェクトの遂行などが挙げられます。
当社は浮体技術に関しては、海外を中心とした多様なタイプの浮体設計会社との協業や出資などを通して着実に知見を獲得しています。
またFLNG(浮体式液化天然ガス生産設備)やFPSO(浮体式生産貯蔵積出設備)といった大規模洋上施設のEPCの経験も活かせると考えています。事業化コスト最適化は国内サプライチェーンの拡充とも関係しています。
当社の2万件を超える各種プラントの建設では、国内外で幅広い資機材の調達を行ってきました。ここで培った国内外の調達ネットワークの活用や、国内外企業とのコラボレーションを図ることで風力発電におけるサプライチェーン拡充も実現させたいと考えています。
大型プロジェクトのマネジメントは当社が最も得意とする所ですので、そのノウハウを活かして確実なプロジェクト遂行を行うことにより、日本における洋上風力発電推進に貢献します。
日揮株式会社
理事
リニューアブルエネルギーソリューション部長
プロジェクトソリューション本部
勝岡 洋一氏
【略歴】
理事
リニューアブルエネルギーソリューション部長
プロジェクトソリューション本部
1992年、日揮株式会社入社。国際事業本部建設部に配属後、一貫して海外オイル&ガスのプロジェクトに従事。日揮でのキャリアの半分以上を海外現場で過ごす。主な駐在国はシンガポール、カタール、ベネズエラ、インドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)など。オイル&ガス統括本部 プロジェクトマネジメント本部 建設部長代行、ウィンドパワープロジェクト室長、ウィンドパワープロジェクト事業部長を経て2022年より現職。
国内商用機として初の「ジャケット式基礎」を建設
海洋エンジニアリング・設計・施工のプロとして、
国内洋上風力発電の普及・促進に貢献
当社では現在、石狩港沖での国内最大規模(8MW×14基)の洋上風力発電施設において、国内商用機としては初となる「ジャケット式基礎」の建設を開始しております。
ラウンド2の公募再開に向けた国・業界の議論や動きも活発化しておりますが、洋上風力発電が今後も健全な産業として発展していくためには、日本における先行案件として現在対応中の「ジャケット式基礎」の建設を成功裏に完成させ、来年末からの運転開始に繋げていくことが何よりも重要であると認識しております。
また、洋上風力の建設においては、現場海域での確実な実行はもちろん、計画・設計段階が非常に重要であることは言うまでもありません。その点で、事業サイト毎に違いがある固有の海底地形・地盤や、波浪、潮流等の自然条件を適切に調査・考慮した計画、並びに設計がしっかりとなされることが、重要な発電インフラとしての信頼性や事業実現性、ひいては社会容認性を高める重要な要素となることを改めて強調しておきたいと思います。
当社ではこれまで50年近くにわたり、国内外で数多く手掛けてきた海洋石油・ガス開発施設や港湾施設建設で培った技術をベースに、国内屈指の海洋エンジニアリング・設計・施工のプロとして、国内洋上風力発電の普及・促進に貢献してまいります。
日鉄エンジニアリング株式会社
執行役員
環境・エネルギーセクター 営業本部長
谷岡 孝一氏
【略歴】
1986年 4月 新日本製鐵㈱ 入社
1986年 6月 エンジニアリング事業本部 鉄構海洋事業部 業務部 経理室
1988年 5月 エンジニアリング事業本部 鉄構海洋事業部 ガスパイプライン部 営業室
1994年 4月 エンジニアリング事業本部 鉄構海洋事業部 エネルギーエンジニアリング部 地域冷暖房営業室 掛長
2000年 9月 エンジニアリング事業本部 エネルギーエンジニアリング事業部 エネルギー営業部 都市・産業エネルギーシステム営業グループリーダー
2005年 7月 エンジニアリング事業本部 鉄構海洋・エネルギー事業部 海外プロジェクトセンター 事業企画・管理グループリーダー
2006年 7月 分社により新日鉄エンジニアリング㈱へ移籍
2007年 1月 海洋・エネルギー事業部 海洋・エネルギー第一ユニット 海外営業部 営業第一室長 シンガポール駐在
2011年 4月 海洋事業部 海外営業部長 シンガポール駐在
2012年10月 戦略企画センター 経営企画部長 (新日鉄住金エンジニアリング㈱に社名変更)
2014年11月 環境ソリューション事業部 海外営業部長
2016年 8月 ドイツ/シュタインミュラー バブコック エンバイロメント社へ出向 (Managing Director)
2019年 4月 (日鉄エンジニアリング㈱に社名変更)
2021年 4月 環境・エネルギーセクター 営業本部 洋上風力営業部長
2022年 4月 執行役員 環境・エネルギーセクター 営業本部長
(現在に至る)
WIND JOURNAL vol.3(2022年秋号)より転載