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数十億円のCAPEXを低減!? 日揮の風況解析による「ダイナミックレーティング」とは

電力ケーブルを合理的に細くして、洋上風力発電所のCAPEXを低減する。日揮の風況解析による「ダイナミックレーティング」とは?

メイン画像:国内での自営線の敷設などで高い実績を有する日揮。ケーブルシステムの設計から施工までトータルでマネジメントする。

電力ケーブルを約2割細く
数十億円のCAPEXを低減

発電所などのEPC事業における調整能力に定評のある日揮が、風力発電所の電力ケーブルを細くする設計技術を確立した。風力発電所向けの電力ケーブルは通常、発電所が定格出力100%で運転を続けても問題ない太さに設計される。しかし、同社は、風力発電は気象条件によって出力が変動するため、風況解析をもとにケーブル径を合理的に細くすることができると考えた。これはダイナミックレーティングという設計技術を応用したものだ。風況解析によるダイナミックレーティングは欧州の洋上風力発電でも採用されており、同社は、実績のあるコンサルティングサービス企業のDNV社と共同で解析技術を確立した。

「500〜1000MWクラスの洋上風力発電所では、電力ケーブルのコストが数百億円にのぼることもあります。風況データに基づいてケーブル径を詳細に見直すことで、2割程度細くできると試算しています。それによって、調達コスト、敷設コストなどCAPEX全体の約10%に相当する数十億円を低減できると見込んでいます」と話すのは、開発に携わった電気システム設計部の下位真一郎氏だ。ケーブル自体の材料の使用量を減らせるうえに、軽量化によって施工や運搬の手間も軽減でき、最終的には電気料金の削減に貢献するという。電力ケーブルには大量の銅などが使われるため、細くできれば省資源にも役立つ。

同社のダイナミックレーティングの対象となるのは、風車から電力系統の連系点までのすべての電力ケーブルだ。洋上風力だけでなく陸上風力にも適用できるが、大規模な事業の方がコスト削減効果が大きい。また、EPC事業全体を最適化することで、コスト削減効果を2〜4割程度にまで高められる可能性もあるという。「日本の洋上風力の発展に向けて、関係者の皆さまと一緒に新しい技術にもチャレンジしていきたい」と下位氏は意欲的だ。

 

日揮の「ダイナミックレーティング」とは


風況解析を行い最大の発電機出力モデルに合ったケーブルサイズを選ぶ為、基本的に出力抑制は不要だ。更にケーブル全長の温度をリアルタイム計測するシステムを導入すれば想定外の高出力にも容易に対応できる。

日揮が得意とする高度な
Interface Management が成功のカギ!

ケーブルシステムの設計には数多くの項目があるが、発電コストを削減するには全体の最適化が重要だ。日揮は国内外にパートナーをもち、EPC事業全体の最適化を得意とする。

PROFILE

日揮株式会社
電気システム設計部
シニアプリンシパルエンジニア

下位 真一郎氏

問い合わせ

日揮株式会社
神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-1
TEL:045-307-4782


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

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