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政策・制度

市町村と県が共同で再エネ促進区域を設定 改正温暖化対策法が成立

市町村と都道府県が共同で再生可能エネルギーの導入を促す区域を設定できるようにする改正地球温暖化対策推進法が今年6月の通常国会で可決、成立した。広域的なエリアの設定を促し、再エネ導入を加速する。

<目次>
1.これまでの制度では市町村が個別に設定
2.2024年4月末時点で32市町村が設定
3.2024年4月末時点で再エネ促進区域を設定している市町村

 

これまでの制度では
市町村が個別に設定

地球温暖化対策推進法によるポジティブゾーニングは2021年度から導入された。これまでの制度では、国や市町村による基準に基づき、市町村が個別に「再生可能エネルギー促進区域(再エネ促進区域)」を定めることになっていた。可決、成立した改正法では、都道府県および市町村が共同で定めることができるようにした。その場合、複数市町村にわたるゾーニング計画などを都道府県が認定する。

全国各地の自治体が脱炭素化を進めるなか、地域の合意形成や環境へ配慮が大きな課題となっている。このため、環境省は2022年4月に地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画制度を拡充し、地域の環境保全や地域の課題解決に貢献する再エネを活用した「地域脱炭素化促進事業」を推進する仕組みを創設した。

2024年4月末時点で
32市町村が設定

せたな町沖

2023年11月に再エネ促進区域を設定した北海道せたな町

この地域脱炭素化促進事業は、市町村が地域の脱炭素化を推進する「再エネ促進区域」を設定し、再エネ事業に求める環境保全・地域貢献の取り組みを自らの計画に盛り込み、適合する事業計画を認定する内容。地域の合意形成を図りつつ、環境に適正に配慮し、地域に貢献する地域共生型の再エネを推進するのが目的だ。

しかし、2024年4月末時点で、再エネ促進区域を定めたのは32市町村にとどっている。再エネ促進区域の設定が進まない理由として、自治体に人員や情報が不足していることが指摘されており、改正法により都道府県と市町村が共同で取り組む枠組みを新たに導入する。都道府県が関与することで、広い範囲に陸上風力発電設備などを設置する際、複数のエリアをまたいだ区域を定めやすくなることが期待される。

2024年4月末時点で
再エネ促進区域を設定している市町村

北海道石狩市(太陽光)北海道当別町(太陽光、中小水力、バイオマス、地中熱、雪氷熱、下水熱、バイオマス熱利用)北海道八雲町(太陽光)北海道せたな町(太陽光、風力)北海道釧路町(太陽光)福島県浪江町(太陽光、風力)栃木県宇都宮市(太陽光)埼玉県さいたま市(太陽光)埼玉県所沢市(太陽光)埼玉県入間市(太陽光)神奈川県小田原市(太陽光)神奈川県厚木市(太陽光)新潟県長岡市(太陽光)富山県富山市(太陽光)富山県氷見市(太陽光)富山県小矢部市(太陽光)長野県箕輪町(太陽光)長野県宮田村(太陽光)岐阜県恵那市(太陽光)静岡県磐田市(太陽光)愛知県岡崎市(太陽光)滋賀県米原市(太陽光)京都府綾部市(太陽光)奈良県奈良市(太陽光)奈良県田原本町(太陽光)島根県美郷町(太陽光)徳島県阿南市(太陽光)愛媛県松山市(太陽光)福岡県福岡市(太陽光)福岡県うきは市(太陽光、バイオマス)佐賀県唐津市(太陽光、風力、中小水力、バイオマス及びその電力を活用した水素製造も含む)熊本県球磨村(風力)


取材・文/高橋健一

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