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三菱商事洋上風力 秋田県沖第2ラウンド事業の環境アセス中止

年内に公募再開を予定している「秋田県八峰町・能代市沖」の洋上風力発電事業について、三菱商事洋上風力は環境影響評価の手続きを中止する方針を決めた。同社は中止の理由を明らかにしていない。洋上風力発電公募の「ラウンド1」の結果をうけて、国が公募基準を見直したことが背景にあるとの見方も出ている。

国と秋田県に
事業廃止を通知

年内に公募再開を予定している「秋田県八峰町・能代市沖」

三菱商事洋上風力は今年11月、今年度に事業者を公募する「秋田県八峰町・能代市沖」について、国と秋田県に事業廃止を通知し、環境影響評価の手続きを中止した。同社は去年6月、環境影響評価の第1段階である「計画段階環境配慮書」の縦覧を開始し、今年9月に第2段階の「環境影響評価方法書」の縦覧を終えている。方法書によると、八峰町と能代市の沖合に出力1万1000~1万5000キロワットの風車を最大33基設置し、発電の最大出力は40万5000キロワットと見込んでいた。

「秋田県八峰町・能代市沖」は去年9月、再エネ海域利用法に基づく促進区域に指定された。経済産業省と国土交通省は去年12月に事業者の公募を開始したが、今年3月に公募基準を見直す方針を示し同海域の公募を中断している。国は新たな基準のもとで、年内に公募を再開する見通しを示している。洋上風力発電公募のラウンド2は、「秋田県八峰町・能代市沖」と「秋田県男鹿市・潟上市・秋田市沖」「新潟県村上市・胎内市沖」「長崎県西海市江島沖」の計4海域で事業者の公募が実施される。

落札制限の導入に
賛否分かれる

去年12月に事業者を選定した第1ラウンドでは、三菱商事を中心とするコンソーシアム(三菱商事系コンソ)が他を圧倒する安い価格を提示して秋田県と千葉県の計3海域を落札し、各方面に波紋を広げている。これをうけて、国は今年6月に公募基準の見直し案をとりまとめた。見直し案では、複数の海域で同時に事業者公募を実施する場合、特定の事業体が大半のエリアを落札するのを防ぐ仕組みが設けられた、1事業体あたりの発電・送電容量の上限を計100万キロワットとする規制を設け、これを超えた場合は新たな落札をできなくする案を示している。さらに運転開始時期が早い提案への評価を高めるとともに、実現性の確認を厳しくする内容が盛り込まれた。

経産省と国交省は落札制限の対象とする公募は、現時点では第2ラウンドのみとする考えを示している。23年度の公募においては、対象区域の合計系統容量が100万キロワットを大きく超える場合は、今年度の公募の結果も踏まえ落札制限の適用を検討するとしている。三菱商事系コンソは、第1ラウンドで3海域すべてを落札したことによって、発電コストを大幅に削減することができたとされている。落札制限の導入については、有識者のあいだでも賛否が分かれていて、三菱商事洋上風力は環境影響評価の手続きを中止した理由についていまも固く口を閉ざしている。


取材・文/高橋健一

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