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政策・制度

第4ラウンドから公募制度を見直し 過去のラウンド事業にも条件付きで適用を検討

国は、洋上風力第4ラウンドから事業者の公募制度を見直すことを正式表明した。第1、第2ラウンドだけでなく、第3ラウンドの選定事業者も含めて、改訂した公募制度を条件付きで適用することを検討している。

 

<目次>
1.供給価格の評価に準ゼロプレミアム水準を新設
2.海外で撤退が相次ぎリスク対応を高く評価
3.次回の公募からセントラル方式を基本に
4.FIP基準価格を調整する価格調整スキームを導入

 

供給価格の評価に
準ゼロプレミアム水準を新設


供給価格と価格点のイメージ。出典 経済産業省)

新たな占用公募制度の運用指針では、次回の公募から事業者の評価基準を大幅に見直す。評価点全体の240点のうち、「供給価格」に120点、「事業の実施能力」に80点、「地域との調整、地域経済などへの波及効果」に40点という配点の大枠はこれまでと変わらない。

供給価格の配点が、これまでと同様に評価点全体の5割を占めている。現行の評価方法では、ゼロプレミアム水準での入札があった場合に、ほかの事業者もゼロプレミアム水準で入札しなければ、点差が大きく開いてしまう仕組みになっている。第3ラウンドでは、公募に参加した7つの事業体すべてがゼロプレミアム水準で入札した。このため、次回の公募から一定程度安価な「準ゼロプレミアム水準」を設ける。ゼロプレミアム水準から準ゼロプレミアム水準までは、価格上昇による評価点の下落を緩やかにして、入札価格の選択の余地を確保する。

海外で撤退が相次ぎ
リスク対応を高く評価

海外の洋上風力発電事業で中断や撤退が相次いでいることから、リスクシナリオへの対応が優れている公募占用計画を高く評価する。「資金・収支計画」の配点を10点から14点に、「運転開始までの事業計画」の配点を15点から16点に変更する。

「事業計画の迅速性」にはこれまでと同様に20点が配点されているが、評価方法を見直す。運転開始時期に応じた点数に「事業計画の基盤面」と「事業計画の実行面」の評価点比率を乗じた値を事業計画の迅速性の評価点とする。「事業計画の基盤面」と「事業計画の実行面」の評価点の合計が満点の5未満の場合は、迅速性評価点を0点とする。運転開始時期を早く設定しても、事業の実現性やリスクシナリオへの対応が優れていなければ評価点が下がる仕組みになっている。

次回の公募から
セントラル方式を基本に

国は次回の公募から「セントラル方式」によるサイト調査を基本とする方針を明らかにした。セントラル方式は、環境影響評価の一部を国が代行して行う制度で、欧州では広く採用されている。公募に参加する事業者の調査が重複する現行方式のムダを解消し、公募の公平性や事業リスクの低減を図るのが目的だ。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が風況・海底地盤・気象海象の調査を実施する。

セントラル方式としてJOGMECがサイト調査を実施した海域においては、調査結果の情報提供を受けた選定事業者に対し、JOGMECが調査費用を請求する。セントラル方式による具体的な調査内容や方法については、海域ごとの実情に応じて検討するとともに、必要に応じて、公平性、公正性、透明性の確保に留意しつつ、事業者が保有する情報や既存の情報を活用するとしている。

過去のラウンド事業にも
条件付きで適用を検討

国は、建設期間中の物価変動に対応して、FIP基準価格を落札後に1回だけ調整する「価格調整スキーム」を導入する案を検討している。洋上風力発電事業では、資本費と運転維持費の割合が7対3となっている。このため、FIP基準価格のうち10分の7を調整の対象とする。調整変動率は、公募開始直前の1年間における物価水準と、工事計画届出予定日の直前1年間における物価水準の比率から一定の加減を減じた割合とする案が示されている。

第1、第2ラウンドの選定事業者からは、物価変動への対応策を求める声があがっている。このため国は、第1、第2ラウンドだけでなく、第3ラウンドの選定事業者も含めて、改訂した公募制度を条件付きで適用することを検討している。国は「価格調整スキーム」や「迅速性評価の具体的内容」、「保証金制度の見直し」については海域ごとに策定する公募占用指針に記載する予定だ。


取材・文/高橋健一

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