【洋上風力第4ラウンド】北海道檜山沖法定協、促進区域の指定に同意 地域との共存共栄とサケ漁への配慮が条件
2025/03/19

経済産業省、国土交通省、北海道は3月19日、檜山沖の第4回法定協議会を開催した。地域との共存共栄や、サケを中心とした漁業者に配慮することなどを条件に促進区域の指定に同意した。
第4回法定協議会に
意見集約の最終案を示す
北海道檜山沖の促進区域案(出典 経済産業省)
北海道檜山沖は、せたな町、八雲町、江差町、上ノ国町の4町の沖合の海域で、出力規模の想定は約91~114万kW。檜山沖の第4回法定協議会が3月19日に江差町のホテルニューえさしで開かれた。法定協議会のメンバーは、経産省や国交省、北海道のほか、せたな町、八雲町、江差町、上ノ国町、漁協関係者などで構成される。
第4回法定協議会では、事務局から意見集約の最終案が示された。このなかでは、港湾区域や漁港区域、海岸保全区域を除く3万2159.9ヘクタールを促進区域に指定する案が示された。そのうえで、選定事業者は、地元との共存共栄の理念や、本海域における発電事業が、地域における新たな産業、雇用、観光資源の創出などの価値を有するものであることについて十分に理解し、地元自治体(「江差町、上ノ国町、せたな町、八雲町、北海道」とも連携しつつ、地方創生にも資する発電事業の早期かつ確実な実現に努めること。選定事業者は、洋上風力発電設備および附属設備の設置までに、発電事業の実施について協議会の構成員となっている漁業者の了解を得ること。基金への出捐の規模(総額)については、選定事業者の公募占用計画で示される発電設備出力(kW)の規模に、kW当たりの単価(250円)と公募占用計画の最大認定期間(30年)を乗じた額、すなわち発電設備出力(kW)×250×30 で算定される額を目安とすることとしている。
重要な魚種のサケ漁に
十分な配慮を求める
北海道江差町沖
また、発電事業による漁業への影響について十分に配慮するため、選定事業者は、協議会が提案する「北海道檜山沖において実施する漁業影響調査の考え方に記載の内容を十分に考慮したうえで、漁業影響調査に関する実務者会議を設置し議論を経て、具体的な調査内容を設計し、決定すること。漁業影響調査の実施に当たっては、実務者会議を通じて説明・報告を適時行うとともに、そこで出された意見・助言を尊重して取り組むこと。促進区域内の定置漁業権、区画漁業権が設定されている海域に設置する場合には、関係漁業者に丁寧に説明し、協議すること。また、海底ケーブルの設置にあたっては、漁業活動や魚礁などに配慮し、適切に設計を行うこと。選定事業者は、漁業との共存共栄の理念のもと、促進区域内の水深20メートル以浅の海域には、洋上風力発電設備など(海底ケーブルを除く。ブレード回転エリアを含む。)を設置しないことを基本とし、当該海域に洋上風力発電設備などを設置しようとするときは、特に関係漁業者との丁寧な説明・調整をすることとしている。
発電事業による漁業への影響のなかでも、檜山沖において重要な魚種であるサケについては、漁期にあたる9~10月の期間における工事にあたっては、関係漁業者および地元の漁業に精通した研究機関などへの丁寧な説明・協議を行ったうえで決定することとしている。
法定協議会では、意見集約の最終案に特に異論は出されず、促進区域の指定に同意した。これに伴い、北海道檜山沖は第三者委員会の評価、促進区域案の公告・縦覧などを経て、早ければ2026年度中に促進区域に指定され、その後、事業者の公募が開始される見通しだ。経産省資源エネルギー庁風力事業推進室の福岡功慶室長は、「今後の具体的なスケジュールを申し上げることは難しいが、みなさまの意見を受けとめながら適切に善処していきたい。事業性を確保する重要性が増しているので、価格調整スキームなどで事業の不透明性への対応や系統の確保などを進めて、全体をしっかり進めていきたい」と話した。
北海道檜山沖
6事業体が計画公表
北海道檜山沖で環境影響評価を実施している事業体
経産省によると、檜山沖の事業想定エリアは乙部町を除くせたな町から上ノ国町までの沿岸部で、出力規模の想定は約91~114万kW。檜山沖では、これまでに電源開発が72万2000kW、東京電力リニューアブルパワーが135万kW、コスモエコパワーが100万kW、北海道洋上風力開発合同会社が150万kWの事業計画を公表し、環境アセスメントや海底地盤調査などを進めている。昨年10月には、新たに関西電力が最大168万kW、北海道電力が114万kWの事業計画を相次いで公表している。
DATA
取材・文/高橋健一