青森沖と山形沖が促進区域に指定へ 8海域は次回に持ち越し
2023/08/25
再エネ海域利用法に基づく促進区域に新たに「青森県日本海南側」と「山形県遊佐町沖」の2海域が、早ければこの秋にも追加される見通しとなった。経済産業省と国土交通省は、年内にも公募を開始する。
青森県日本海南側
法定協議会で意見集約
青森県日本海南側の促進区域案(出典 経済産業省)
青森県日本海南側は、県の南西部のつがる市と鰺ヶ沢町の沖合で、出力規模は60万kW。国、県、地元自治体や漁協関係者らで構成する法定協議会の第4回会合が7月28日に開催された。国が洋上風力発電の整備を優先的に進める「促進区域」指定の手続きに入ることや、事業者に求める地域振興策などについて合意した。
会議では、選定事業者は地域や漁業との共存共栄の理念を理解し、丁寧な説明・協議の実施などを通じて、地域や漁業との信頼関係の構築と発電事業の安全性確保に努めること、海岸線から500m以内の海域には海底ケーブルを除く洋上風力発電設備などを設置しないこと、海底ケーブルの設置にあたっては、漁業に支障を及ぼすことがないよう、十分な深さでの埋設を行うなど設置方式に配慮することなどを求めていくことが了承された。
今後設置される基金への出捐規模については、本海域で活用することを希望するとして情報提供のあった系統の最大受電電力量に、kWあたりの単価250 円と公募占用計画の最大認定期間30 年を乗じた額、すなわち確保済み系統容量(60 万 kW)×250×30 で算定される額を目安とすることで意見集約した。
山形県遊佐町沖は
今年3月に意見集約
山形県遊佐町沖の促進区域案(出典 経済産業省)
山形県北部の遊佐町沖は出力規模が45万kW。遊佐町沖については、今年3月に開催された第4回法定協議会で地元の意見を集約している。漁業との共存共栄を図るため、洋上風車については海岸線から1海里、1.85キロの海域には設置を認めないとしている。また、地元への利益還元のために設置する基金への出捐規模は、発電設備出力の規模に、kWあたりの単価250 円と公募占用計画の最大認定期間30 年を乗じた額、すなわち発電設備出力×250×30 で算定される額を目安とするとしている。
建設前後の変化を詳しく調べるため、漁業への影響調査は着工の2年前から開始することを基本とし、工事期間中から運転開始後3年間を目安としたうえで、対象となる魚種の特徴や長期的な視点での影響を考慮し、漁業への影響評価に必要となる期間を設定するよう求めている。また、調査結果に基づき、影響の有無や程度の判断を行い、調査期間の延長や追加調査の実施の必要性を検討するとしている。
ほかの8海域は
来年度以降に持ち越しへ
今後は、区域選定に関する有識者会議や公告などを経て、早ければこの秋にも青森県日本海南側と山形県遊佐町沖の2海域が促進区域に指定される見通し。経済産業省と国土交通省は、年内にも公募を開始する。今年5月に有望な区域に選定されたばかりの北海道沖5海域と、青森県日本海北側、千葉県九十九里沖、千葉県いすみ市沖の計8海域は、法定協議会の議論が進んでいないため、促進区域への指定は来年度以降に持ち越される見通し。
DATA
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取材・文/高橋健一