注目キーワード

English 日本語

政策・制度

青森沖と山形沖が促進区域に指定へ 8海域は次回に持ち越し

再エネ海域利用法に基づく促進区域に新たに「青森県日本海南側」と「山形県遊佐町沖」の2海域が、早ければこの秋にも追加される見通しとなった。経済産業省と国土交通省は、年内にも公募を開始する。

<目次>
1.青森県日本海南側 法定協議会で意見集約
2.山形県遊佐町沖は今年3月に意見集約
3.ほかの8海域は来年度以降に持ち越しへ

 

青森県日本海南側
法定協議会で意見集約

8青森県日本海南側 促進区域案

青森県日本海南側の促進区域案(出典 経済産業省)

青森県日本海南側は、県の南西部のつがる市と鰺ヶ沢町の沖合で、出力規模は60万kW。国、県、地元自治体や漁協関係者らで構成する法定協議会の第4回会合が7月28日に開催された。国が洋上風力発電の整備を優先的に進める「促進区域」指定の手続きに入ることや、事業者に求める地域振興策などについて合意した。

会議では、選定事業者は地域や漁業との共存共栄の理念を理解し、丁寧な説明・協議の実施などを通じて、地域や漁業との信頼関係の構築と発電事業の安全性確保に努めること、海岸線から500m以内の海域には海底ケーブルを除く洋上風力発電設備などを設置しないこと、海底ケーブルの設置にあたっては、漁業に支障を及ぼすことがないよう、十分な深さでの埋設を行うなど設置方式に配慮することなどを求めていくことが了承された。

今後設置される基金への出捐規模については、本海域で活用することを希望するとして情報提供のあった系統の最大受電電力量に、kWあたりの単価250 円と公募占用計画の最大認定期間30 年を乗じた額、すなわち確保済み系統容量(60 万 kW)×250×30 で算定される額を目安とすることで意見集約した。

山形県遊佐町沖は
今年3月に意見集約

山形県遊佐町沖
山形県遊佐町沖の促進区域案(出典 経済産業省)

山形県北部の遊佐町沖は出力規模が45万kW。遊佐町沖については、今年3月に開催された第4回法定協議会で地元の意見を集約している。漁業との共存共栄を図るため、洋上風車については海岸線から1海里、1.85キロの海域には設置を認めないとしている。また、地元への利益還元のために設置する基金への出捐規模は、発電設備出力の規模に、kWあたりの単価250 円と公募占用計画の最大認定期間30 年を乗じた額、すなわち発電設備出力×250×30 で算定される額を目安とするとしている。

建設前後の変化を詳しく調べるため、漁業への影響調査は着工の2年前から開始することを基本とし、工事期間中から運転開始後3年間を目安としたうえで、対象となる魚種の特徴や長期的な視点での影響を考慮し、漁業への影響評価に必要となる期間を設定するよう求めている。また、調査結果に基づき、影響の有無や程度の判断を行い、調査期間の延長や追加調査の実施の必要性を検討するとしている。

ほかの8海域は
来年度以降に持ち越しへ

今後は、区域選定に関する有識者会議や公告などを経て、早ければこの秋にも青森県日本海南側と山形県遊佐町沖の2海域が促進区域に指定される見通し。経済産業省と国土交通省は、年内にも公募を開始する。今年5月に有望な区域に選定されたばかりの北海道沖5海域と、青森県日本海北側、千葉県九十九里沖、千葉県いすみ市沖の計8海域は、法定協議会の議論が進んでいないため、促進区域への指定は来年度以降に持ち越される見通し。

DATA

青森県日本海南側 第4回法定協議会

山形県遊佐町沖 第4回法定協議会


WINDビジネスフォーラム
全国各地で導入が進む洋上と陸上の風力発電。北海道庁、銚子市、松前町の政策責任者をお迎えして、オンラインイベントを開催いたします!地元の合意形成や地域振興のあり方について、現場の最前線からナマの声をお送りします。事前登録のみで無料ご参加いただけますので、お気軽にご参加ください。


取材・文/高橋健一

関連記事

遊佐町沖
経済産業省
経済産業省
経済産業省
経済産業省
経済産業省
広告お問い合わせ

アクセスランキング

  1. 北海道檜山沖、3月19日に第4回法定協議会 意見集約の最終案について議論...
  2. 【洋上風力第4ラウンド】北海道檜山沖法定協、促進区域の指定に同意 地域との共存共栄とサケ漁への配慮が条件...
  3. 北海道庁 留萌地域における風力発電の経済波及効果を調査、委託事業者を公募...
  4. 【洋上風力第2ラウンド】「秋田県八峰町・能代市沖」の公募占用計画を認定、風車施工は室蘭港を活用...
  5. 【愛媛県】ものづくり企業の “スゴ技” で洋上風力発電市場への参入を目指す 関連企業ガイドブックを発行...
  6. 10日先までの風況・波浪を高精度で予測 ~ 総合技術コンサルタント 西日本技術開発 火力本部 ~...
  7. 【特集】洋上風力「第4ラウンド」の動向まとめ 異例の展開のラウンド事業の行方は?...
  8. 【アイルエンジニアリング】欧州の大手クレーンメーカーが続々と採用 FibreMaxのアラミド製ケーブル...
  9. 【スペシャル対談】MOPA・IACOWの産学連携で目指す人材育成
  10. 【洋上風力第4ラウンド】有望な区域・セントラル調査対象区域の選定に向け 国が情報提供の受け付け開始...

フリーマガジン

「WIND JOURNAL」

vol.08 | ¥0
2025/2/19発行

お詫びと訂正