【洋上風力第4ラウンド】有望な区域・セントラル調査対象区域の選定に向け 国が情報提供の受け付け開始
2025/03/11

経済産業省と国土交通省は、再エネ海域利用法に基づく「有望な海域」、「準備区域」への整理を目指す都道府県を対象に、3月10日から情報提供の受け付けを開始した。国は有望な区域などと併せて、セントラル方式の調査対象区域を選定する方針だ。
5月12日までに
国へ情報提供を求める
促進区域指定・事業者公募のプロセスの流れ(出典 経済産業省)
再エネ海域利用法では、洋上風力発電の整備を優先的に進める「促進区域」の指定にあたって、既存の文献やデータベースのほか、都道府県などから情報収集を行うこととしている。これらの情報を踏まえ、早期に促進区域に指定できる見込みがあり、より具体的な検討を進めるべき区域を「有望な区域」として整理している。
国は、洋上風力発電の導入可能性エリアの位置情報や漁場利用、船舶航行、海底ケーブルに対して配慮すべき条件などについて、5月12日までに国へ情報提供するよう求めている。すでに「一定の準備段階に進んでいる区域」に整理されている都道府県も、「有望な区域」に選定されるための課題を解決するための施策を加えて、あらためて国へ情報提供する必要がある。「有望な区域」に整理されると、「促進区域」への指定に向けて法定協議会が設置される。
有望区域に整理する要件として、国は、① 促進区域の候補地があること、② 利害関係者を特定し、協議会を開始することについて同意を得ていること(協議会の設置が可能であること)、③ 区域指定の基準に基づき、促進区域に適していることが見込まれることを挙げている。
また、有望区域の要件は満たさないものの、都道府県として、今後、協議会を設置して具体的な協議を行うことを念頭に、利害関係者などとの調整に着手している区域については「準備区域」として整理するとしている。
2024年度は3海域が
セントラル方式の調査対象区域に
セントラル方式における案件形成プロセスとサイト調査の関係(出典 経済産業省)
国は、有望な区域と併せて、セントラル方式の調査対象区域を選定する方針だ。今年1月29日に改訂した「一般海域における占用公募制度の運用指針」のなかで、国は次回の公募から「セントラル方式」によるサイト調査を基本とする方針を明らかにしている。セントラル方式は、環境影響評価の一部を国が代行して行う制度で、欧州では広く採用されている。公募に参加する事業者の調査が重複する現行方式のムダを解消し、公募の公平性や事業リスクの低減を図るのが目的だ。独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が風況・海底地盤・気象海象の調査を実施する。
セントラル方式の対象は、「一定の準備段階に進んでいる区域」、もしくはどの区域にも整理されていない区域。調査を希望する都道府県からの情報提供をうけて、国は有識者による第三者委員会の意見を踏まえて、調査対象区域の選定を行う方針だ。2024年度は、北海道岩宇・南後志地区沖(浮体)、北海道島牧沖(浮体)、山形県酒田市沖の計3海域が調査対象区域に選定されている。
セントラル方式の要件として、国は対象区域における調査活動の実施により操業上の調整が生じる者(漁業・航路など)の調整に着手しており、JOGMECが調整を行う際にも、都道府県として地元関係者などとの調整に主体的に関与すること、海域の自然的条件、風力発電設備の設置に関する技術的条件その他の条件から判断して、事業者が海域の調査に関する自主的な活動を十分に実施することが困難と認められる地域であること、2つ以上の事業者がそれぞれに調査を実施することなどによって漁業その他の活動に支障を及ぼすおそれがあると認められる地域であることを挙げている。セントラル方式についても、5月12日までに国へ情報提供するよう求めている。
各都道府県から提供された情報に基づき、国は関係省庁で協議を行うとともに、有識者によって構成される第三者委員会の意見を踏まえて、有望な区域や準備区域の整理とセントラル方式の調査対象区域の選定を行う。2024年度は昨年9月27日に「秋田県秋田市沖」、「和歌山県沖(東側)」、「和歌山県沖(西側・浮体)」の3つの海域が「準備区域」に整理されたが、新たな「促進区域」はまだ公表されていない。
DATA
取材・文/高橋健一