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政策・制度

山形県遊佐町沖 促進区域指定へ意見集約

山形県遊佐町沖で計画されている洋上風力発電の法定協議会が3月29日に開かれ、事業化に向けての最終意見をとりまとめた。洋上風力発電の整備を優先的に進める「促進区域」への指定に向け、さらに一歩前進したことになる。

事業者が守るべき
留意事項を集約

山形県遊佐町沖
山形県遊佐町沖の促進区域案(出典 資源エネルギー庁)

山形県北部の遊佐町は、秋田県と接する人口約1万2000人の町。山形県は、洋上風力発電の導入の可能性について議論するため、2018年度に「遊佐沿岸域検討部会」を設置し、行政、漁業関係者、住民代表者による議論を重ねてきた。これと合わせて、漁業と洋上風力発電との協調策や振興策について、「漁業協調策・振興策研究会」や「漁業協調策等検討会議」を設置し、洋上風力発電との共存共栄のあり方について研究・検討を行っている。遊佐町沖の事業想定海域は、吹浦漁港の南側から酒田市との境界にかけての南北約9キロのエリア。2021年9月に再エネ海域利用法に基づく「有望な区域」に選定された。法定協議会は、2022年1月に設置されている。

3月29日に開催された4回目の会合では、選定される発電事業者が守るべき「留意事項」を示した。留意事項は、(1)全体理念(2)地域や漁業との共存および漁業影響調査について(3)洋上風力発電設備等の設置位置等についての留意点(4)洋上風力発電設備等の建設にあたっての留意点(5)発電事業の実施にあたっての留意点(6)環境配慮事項について(7)その他の7つの項目について地元の意見を集約した。

このうち、地域や漁業との共存については、「風車設置に伴う操業環境の変化に対応した、付加価値の高い稼げる漁業を実現するための取り組み」「良好な内水面環境等の遊佐の強みを生かした、つくり育てる漁業を持続・発展させていくための取り組み」「地域における新産業(水素関連を含む)の育成、関連する雇用確保に向けた取り組み」を踏まえた提案を行うことを求めている。

海岸から1海里以内は
風車設置を禁止

山形県遊佐町沖
山形県遊佐町沖の区域と漁場の操業状況のイメージ(出典 資源エネルギー庁)

漁業との共存共栄を図るため、洋上風車については、海岸線から1海里、1.85キロの海域には設置を認めないとしている。また、地元への利益還元のために設置する基金への出捐規模は、発電設備出力の規模に、キロワットあたりの単価250 円と公募占用計画の最大認定期間(30 年)を乗じた額、すなわち発電設備出力×250×30 で算定される額を目安とするとしている。
建設前後の変化を詳しく調べるため、漁業への影響調査は着工の2年前から開始することを基本とし、工事期間中から運転開始後3年間を目安としたうえで、対象となる魚種の特徴や長期的な視点での影響を考慮し、漁業への影響評価に必要となる期間を設定するよう求めている。また、調査結果に基づき、影響の有無や程度の判断を行い、調査期間の延長や追加調査の実施の必要性を検討するとしている。

隣接する酒田市沖でも
事業化を検討


酒田市沖は「有望な区域」を目指している

2022年度は、9月下旬に促進区域が決定し、12月下旬に発電事業者の公募が開始された。2023年度も同じようなスケジュールになるとみられている。遊佐町の時田博機町長は「次のステップに進むためのたたき台ができたと感じている。また必ず課題が出てくるので、法定協議会などでしっかり手順を踏んで調整していきたい」と話した。
山形県沖では、遊佐町沖に隣接する酒田市沖でも洋上風力発電の導入を検討している。山形県の酒田沿岸域検討部会は3月2日、同市沖の南北約22キロのエリアを想定海域にして、再エネ海域利用法に基づく「有望な区域」に選定されることを目指し、国に情報提供を行う方針を決めた。

DATA

資源エネルギー庁 ホームページ


取材・文/高橋健一

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