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埋設ケーブルの貫通部にも「メカニカル」なシーリングが必須!

自営線の配管など土中の貫通部を水や害虫・害獣から守り、施工性の向上や長期的なメンテナンスコストの低減に役立つ、「メカニカル」なシーリング装置とは何か。貫通部の処理に関して豊富なノウハウをもつ日本リンクシールに詳しく聞いた。

水密や気密が必須の貫通部
欧州で主流のシーリング装置

風力発電所では、自営線を地下埋設して変電設備などに引き込むことが多い。その際には、土中の貫通部を適切に処理して、地下水や害虫・害獣などをシャットアウトすることが重要だ。壁に穴を開けてケーブルを通す貫通部には、水密や気密など、壁と同様の密封性が求められる。

風力発電産業で日本に先行する欧州では、貫通部の処理に「メカニカル」なシーリング装置を用いるのが主流だ。「メカニカル」と呼ばれる理由は、壁に貫通させたスリーブという穴に装置をはめ込み、ゴムやボルトでケーブルと貫通部スリーブとの隙間を密封する仕組みにある。日本で使われているパテなどのシーリング材と比べて、施工性や維持管理コストの面で優れているという。

貫通部の処理にもスポットを
システム全体の設計が重要

日本リンクシールは、貫通部の処理に関して約40年の実績を持つ。建築設備や防衛関連施設など、多くのシーリングを手がけてきた。営業部マネージャーの安孫子正徳氏は、メカニカルなシーリング装置を採用するメリットについて、こう説明する。「施工が容易なので、作業の習熟度に関わらず、誰でも貫通部をきっちりと密封できます。経年によってひび割れたり剥がれたりすることがないため、追加の補修も不要です。こうした特長から、施工時間の短縮やメンテナンスコストの低減に役立ちます」。


「シーリング装置を設計の段階から組み込むことが重要です」と語る営業部マネージャーの安孫子正徳氏。

発電所の運用中に、電力ケーブルなどの貫通部の密封性が損なわれると、発電を止めて修繕しなければならない。期待された収益が得られないだけでなく、緊急対応のためのコストも発生し、事業採算性を悪化させてしまう。

このように、貫通部を湿気やほこりなどから守る密封処理は、発電所の安全性や事業性と深く関わる。しかし、その重要性が十分認識されず、シーリングに必要な予算が割り当てられないケースも多いという。「風力発電産業が本格化する今こそ、貫通部の処理方法にもスポットを当て、設計の段階でメカニカルなシーリング装置を仕様に盛り込むべきです」と安孫子氏は指摘する。

 

「メカニカルシーリング装置」の2大アドバンテージ

ノーメンテナンスで防水・気密!

長期にわたって密封性をしっかりと維持する。追加補修なども不要だ。


パーツが一体成形で施工性が高い!

ケーブルの太さに合わせて、内側のゴムを自在に調整し、隙間を埋める。

 

条件に合わせてカスタマイズ
「施工が簡単」と現場で好評

日本リンクシールは、ドイツのシーリング装置メーカーであるハウフテクニックの製品を輸入・販売している。ハウフテクニックのシーリング装置は、カスタマイズがしやすいため、自営線など土中のシーリングにも最適だという。「ケーブルの外径や地下埋設などの設置条件に合わせた、柔軟なカスタマイズが可能です」と安孫子氏は強調する。

また、装置を構成するパーツが少ないため、施工しやすいのも強みだ。主力製品の「HRD」は、シーリングラバーとステンレスのプレート、それらを締め付けるボルトの3点で構成されている。ケーブルの外径に合わせてゴムを広げ、ケーブルをはめ込み、ボルトを締め付けることで密封する。パーツを一体化することで、現場での部品の紛失や落下のリスクを極力軽減した。施工箇所ごとにシーリング装置と潤滑剤をセットにした透明の袋で現場に納入されるため、どこに使う装置なのかを判別しやすく、好評だという。

同社では、日本語のマニュアルを整備するとともに、和歌山市にあるフィールドサービス拠点から、必要に応じて施工指導に赴くなど、顧客対応にも力を入れている。

「使いやすくて高性能なハウフテクニックの製品群には、シーリング装置のみならず、ユニークな貫通部スリーブ(HSI)もあります。ケーブル貫通部のトータルなシーリングシステムの提案も可能です。日本の風力発電設備でもぜひ活用してもらいたいですね」と安孫子氏は力を込める。


安孫子氏(右)とアプリケーションエンジニアの仲森亮介氏(左)。

 

 

欧州シーリング大手「ハウフテクニック」とは


ドイツのシーリング装置メーカー。特に、土中貫通部のシーリングに関しては、60年以上の実績を持つ。施工性の高い商品展開が強みだ。同社の製品は、バルト海にあるドイツで初めて商用化された洋上風力発電所にも導入されている。

施工箇所ごとにパッケージ化して現場へ納品

施工箇所ごとに、シーリング装置と潤滑剤の「ルブリカント」を透明の袋に入れて配置する。装置を使用する箇所がわかりやすく、現場での取り違いなどを防止できる。

問い合わせ


日本リンクシール株式会社
〒112-0003 東京都文京区春日2-22-5-401
TEL:03-5803-1588
FAX:03-5803-1590
Mail:link-seal@ric-nord.co.jp


取材・文:山下幸恵(office SOTO)
写真:松尾夏樹 

WIND JOURNAL vol.6(2024年春号)より転載

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