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五島市沖の浮体式計画、是正措置を行い建設工事を再開 運転開始は2年延期

戸田建設は9月22日、長崎県五島市沖に設置していた浮体式洋上風力発電設備について、運転開始を2年延期し2026年1月にすると発表した。浮体構造部に不具合が見つかったことが原因で、すでに是正措置を行い建設工事を再開した

(アイキャッチ画像 長崎県五島市沖のイメージ図 出典:戸田建設)

運転開始を
2026年1月に延期

五島市洋上風力発電事業の概要(出典 戸田建設)

五島市洋上風力発電事業の概要(出典 戸田建設)

この事業は、再エネ海域利用法に基づいて設置する浮体式洋上風力発電設備として、国内で初めて公募計画認定を受けた。戸田建設を代表企業として、ジャパン・リニューアブル・エナジー、大阪ガス、INPEX、関西電力、中部電力の6社でつくる合同会社が実施している。計画では、出力2100kWの浮体式洋上風車8基を設置する。総出力は1万6800kW。当初は2024年1月に運転を開始する予定だった。

風車は、日立製作所製。浮体は、戸田建設と京都大学が共同開発した「ハイブリッドスパー型」を採用している。ハイブリッドスパー型は、上部を鋼、下部をコンクリートの細長い円筒形になっている。風車の重心を下げて安定性を向上するとともに、単純な円筒構造のため中小規模の生産設備でも量産しやすいとしていた。

戸田建設は今年5月、五島市の福江港で製作中の2基に不具合が見つかったと公表していた。同社によると、すでに事象の確認と原因究明および対策工法の検討を実施し、地上ヤードで、2基の不具合の是正措置を行い、建設工事を再開している。海上にすでに設置している浮体についても、同様の不具合の有無を確認するため、検査を実施することにした。崎山沖に設置済みの浮体3基のうち1基を福江港岸壁に陸揚げし、浮体構造部の健全性を検証したうえで、残りの浮体2基の取り扱いについて判断する予定。

戸田建設は今年5月、浮体構造部の不具合により建設費用が増加するとして、2023年3月期に約95億円の減損損失を計上したと発表している。

DATA

五島市沖洋上風力発電事業の運転開始時期を2026年1月に延期


取材・文/高橋健一

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